そうした中、2017年にチームM2Oが結成された。同チームは、VLBIを用いてより詳細に大質量原始星円盤の撮像を試み、2019年1月、G358-MM1において初めて観測されるに至ったのである。なお、G358-MM1の原始星円盤で確認された腕は4本だったという。

  • 降着バーストを起こしたG358-MM1の4本の渦巻き腕を持つ原始星円盤のイメージ。(C)Charlie Willmott, Ross Burns

    降着バーストを起こしたG358-MM1の4本の渦巻き腕を持つ原始星円盤のイメージ。(C)Charlie Willmott, Ross Burns(出所:国立天文台水沢Webサイト)

チームM2Oは、新解析技術として「熱波マッピング」と呼ばれる方法を考案。これは、降着バーストによって加熱された円盤内のガス中に存在するメタノール分子からの強いメーザー放射の位置と回転速度を計測することで、円盤の全体像を捉えるという手法だ。同手法を用い、時間を変えて天体の撮像を行うことで、メタノールメーザーの光っている場所が円盤の外側に向かって時間とともに広がっていく様子を描き出し、初めて円盤の全体像を捉えることに成功したとする。

  • 熱波マッピングのデータを解析して得られた、円盤内の渦巻き構造。原始星の周りに4本の渦巻き構造が示されている。(C)R. A. Burns

    熱波マッピングのデータを解析して得られた、円盤内の渦巻き構造。原始星の周りに4本の渦巻き構造が示されている。(C)R. A. Burns(出所:国立天文台水沢Webサイト)

研究チームによると今回の発見は、ケプラー回転する原始星円盤、突発的・間欠的な降着現象、および成長する大質量原始星へ質量を供給するのに重要な役割を果たす渦巻き構造など、降着バースト理論を裏付ける複数の証拠をまとめたものだという。

チームM2Oは、大質量原始星の降着バーストを引き続き捜索中だ。これまでのところ、大質量原始星における降着バーストの決定的な証拠は3回(3天体)しか確認されていない。同チームは、さらなる調査によって大質量星形成のプロセス全容を解明するため、より多くの降着バーストを発見したいとしている。