シャーレスCEO「世界にとってのデザインを再構築していく」
シャーレス氏は、あらゆる分野におけるバーチャルツインの重要性を強調する。仮想空間でのコミュニケーションなどを可能にする形で普及するメタバースに対し、バーチャルツインでは現実世界の改善に向けたシミュレーションが行われる。その例として医療などライフサイエンス分野での適用を挙げ、人間の細胞やDNAの挙動に近いものをモデリングし、その変容をシミュレーションすることで、新たな技術を創出できるとする。
また、シャーレス氏もものづくりの現場における材料費の高騰に触れ、バーチャルツイン上で代替素材などのシミュレーションを行うことによって、リアルタイムで製造コストや納期の正確な予測を実現できるとしている。
併せて、学生の教育やスタートアップへのサービス提供に関しても注力していくとする。過去には3DEXPERIENCE Worksを利用して学生によって開発された海中廃棄物回収ロボットが賞を獲得した例もあり、「若い世代は新たなデザインを担っていく存在である」と語る。さらにさまざまな良いアイデアを持つスタートアップも多く存在する中、「すべてのデザインをオンラインで行えるプラットフォームを提供することで、新たな利用者にリーチし、新たなエコシステムを形成している」とした。
ソフトウェアを利用する開発者たちのものづくりを紹介
SOLIDWORKSのCEOを務めるマニッシュ・クマー氏は、ダッソー・システムズが提供するサービスを利用する人それぞれがメーカーであるとの考えを示し、複雑化が急速に進むものづくりにおいて、その要求に応え最高のアセンブリを実現することを目指すとする。
またダッソー・システムズのバイスプレジデントであるスーチー・ジェン氏は、約700万人とされるユーザーコミュニティの中でも革新的な歩みを進める開発者4名と共に登壇。ウェアラブルロボット、チタンのマシニング技術、大型ロボット、そして心臓外科手術ソリューションと多岐にわたる適用例を紹介し、SOLIDWORKSや3DEXPERIENCEを活用した技術革新に関するプレゼンテーションを行った。
7月からすべてのSOLIDWORKSデータがクラウド利用可能に
また、「SOLIDWORKSコミュニティの全員が3DEXPERIENCE Worksを活用してほしい」と語るバッシ氏のプレゼンテーション内では、2023年7月1日より、SOLIDWORKSのすべてのシートをクラウド上の3DEXPERIENCEに接続可能にすると発表された。
この機能追加により、場所やデバイスにとらわれない作業が実現され、1つのデータに対して同時にコラボレーションすることが可能になるとする。この発表を受けて、会場からは歓声が上がった。バッシ氏は、「いつでもどこでもすべての人が同じデータを扱うことができることの価値を実感してほしい」と締めくくった。