大阪公立大学(大阪公大)、東京大学、核融合研究所(核融合研)、福井工業大学(福井工大)、理化学研究所(理研)、国立天文台(NAOJ)の6者は1月27日、NAOJの野辺山45m宇宙電波望遠鏡によって詳細に観測された天の川銀河の一酸化炭素(CO)分子の大規模データから、星の原料となる分子雲を約14万個同定したのち、AIを活用してそれらの距離をそれぞれ推定し、同銀河内における分子雲のサイズや質量を求め、詳細に銀河円盤の分子雲の分布を描き出すことに成功したと共同で発表した。

  • NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線観測から推定された天の川銀河の想像図(C)NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt

    NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線観測から推定された天の川銀河の想像図(C)NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt(出所:共同プレスリリースPDF)

  • 運動学的距離の導出の模式図(C)名古屋市科学館

    運動学的距離の導出の模式図(C)名古屋市科学館(出所:共同プレスリリースPDF)

同成果は、大阪公大大学院 理学研究科の藤田真司客員研究員(東大大学院 理学系研究科 特任研究員兼任)、NAOJ 野辺山宇宙電波観測所の西村淳特任准教授、核融合研 ヘリカル研究部の伊藤篤史准教授、福井工大 工学部 電気電子工学科の宮本祐介准教授らの研究チームによるもの。詳細は、日本天文学会が刊行する欧文学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載された。

恒星は、宇宙空間を漂うガスや塵が集まることによって誕生する。こうして発生する分子雲はとても希薄かつ低温(およそ-260℃)であるため、人間の目で直接見ることは叶わないが、電波望遠鏡を用いることで、そこに含まれるさまざまな分子が放つ微弱な電波を捉えることが可能だ。

しかし、地球は天の川銀河の円盤面に属しており、中心方向(いて座の方向)などは特にガスや塵が視線方向(地球から見て奥の方向)に重なっているため、それらの物質の距離を知ることは容易ではなく、特に奥側の物質は、赤外線や電波などの透過力の高い光・電磁波を用いてもすべてを見通すことは難しい。また、距離がわからなければ、実際の大きさや質量などの物理量を求めることも不可能だ。

天の川銀河は、最も近くにあり最も分子雲を詳細に観測できる唯一無二の銀河だが、我々自身がそこに属しているということが短所となり、大規模観測データから統一的に分子雲の物理量を調べる研究はこれまでとても困難だった。しかし研究チームは今回、外から見ることは現在の人類の技術力では不可能なことから、つぶれてしまった奥行き方向の距離をAIで復元する可能性を着想したという。