JPデジタルは、2021年にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援を行う会社として立ち上げられた。現在は、デジタル関連サービス・ソリューションの開発・試験・運用、デジタルテクノロジーを活用した新規サービスの企画・構築・提供・運用、 デジタル人材育成を行っている。

創業以来、151年にわたり郵便というインフラを担ってきた日本郵政グループは、2021年5月に発表した中期経営計画で、「リアルとデジタルの融合」を掲げるなど、デジタルによる変革にも積極的に取り組んでおり、「みらいの郵便局」の実現に向けて、核を担う企業としてJPデジタルの存在がある。

そんな日本の郵便事業のDXを担うJPデジタルは、自社が抱えていた課題を解決するために、働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を導入した。

今回、JPデジタル 執行役員CIOの柴田彰則氏、DX部門の市橋知樹氏、チームスピリット TeamSpiritエバンジェリストである荻島将平氏に、JPデジタルが抱えていた課題をいかに解決したのか、また今後どんな未来を描いているのかについて聞いた。

  • 左からTeamSpiritエバンジェリスト荻島将平氏、JPデジタルDX部門の市橋知樹氏、同社 執行役員CIOの柴田彰則氏

課題は「社内外を問わない幅広い人材の管理」

柴田氏は、JPデジタルが抱えていた課題について、次のように説明した。

「弊社は、郵便や銀行、保険など日本郵政グループ各社のサービスや、各種サービス手続きのデジタル化などを目指しているため、社内外を問わず幅広くデジタルに特化したプロフェッショナル人材が集結し、多くのプロジェクトを走らせています。そのため、多くの人材の勤怠や工数管理をどのようにまとめていくか、という点に課題を抱えていました」(柴田氏)

  • JPデジタルが抱えていた課題について語る柴田氏

JPデジタルの社員数は70名程度だが、実際にプロジェクトに関わっている人材は200名近い人数になる。また、大きなプロジェクトは、JPデジタル内で4本ほど同時に走っており、働き方や雇用形態もさまざまなグループ内外のメンバーがこれらのプロジェクトに参加しているため、そんなフレキシブルさに対応できる管理ツールを探していたという。

「TeamSpiritを導入するまでは、Excelを使用してプロジェクトの管理を行っていました。さすがにこれだけの人数やプロジェクトの工数の管理をこのまま行っていくのは無理があると思っていたので、弊社の設立から3カ月で管理ツールの導入を本格的に決めました」(市橋氏)

  • TeamSpirit導入の経緯を語る市橋氏

そこからJPデジタルは、さまざまなツールの比較検討をした結果、TeamSpiritの導入を決めた。TeamSpiritは、勤怠管理や工数管理、経費精算など、全従業員が日常的に使う機能を統合したバックオフィス支援ツールだ。そして、チームスピリットも交えながら要件を固め、構築していきながら改善を重ねて、導入に至ったという。

「TeamSpiritでは、無償のサポートサービスを提供しています。管理担当者だけでなく社内のどなたが質問してもその内容と回答の履歴が残るため、同じ疑問を持った別の社員の方が迷うことなく確認できる点が良かった、と導入を決めていただいた際に言っていただきました」(荻島氏)

  • TeamSpiritについて語る荻島氏

歴史あるグループの体制に改革を起こす

ここまで導入についての話を伺ってきたが、TeamSpiritを導入してから、どのような効果を感じているのだろうか。

「導入効果として、デジタル人材のジョブ管理ができるようになったこと、働き方を可視化できるようになったことを感じています。TeamSpiritは、勤怠管理と工数管理が一体となっているので、社内外の人材が参加するプロジェクトで強みを発揮できていると思います」(柴田氏)

前述したが、JPデジタルでは大規模プロジェクトが複数走っているため、メンバーや工数などが変更になったり、社員だけでなくパートナーが複数のプロジェクトにまたがって参加していたりすることも多い。そのため、TeamSpiritの導入によって、それらの変更が正確に捉えることが可能になったという。

「勤怠と工数の把握し、働き方を可視化できるようになったことで、『自分の働き方が分かっていなかった』という気付きを得られたのも大きなポイントです。無駄な業務や勤怠以外の時間があったことに気が付くことで、働き方を変えるヒントにもなりました。また、どこのプロジェクトが今大変なのかなどを把握することで、なかなか『忙しい』『大変だ』と言い出せない人の隠れた声もキャッチすることができるようになりました。これを人材マネジメントにも活用しており、月に1回、全社員が上司と面談を行い、TeamSpiritのダッシュボードで勤務状況やプロジェクト状況を参照しながら対話を行っています」(市橋氏)

また、毎月のレポートも集計できるため、プロジェクト全体として忙しく手が足りていないのか、チームの中の特定の誰かが忙しいのかを分析して、適切な対策が打てるようになったという。

アジャイル開発のプロジェクト管理およびPDCAサイクルの管理が可能になった点もTeamSpiritによって得られた効果だ。郊外や都市部のニーズにフォーカスした同社のDX戦略において、遠隔地のプロジェクトに参加するメンバーの勤怠と工数管理に役立っているとのことだ。

「TeamSpiritというツール自体もアジャイルで開発されているため、スピード感を持ってご支援できているのではないかと思います」(荻島氏)

最後に柴田氏に今後の展望を聞いた。

「弊社は、新しい会社だからこそ『実験場所』という雰囲気があると思っています。もちろんグループとしては、歴史のある組織なため、昔からの体制を変えることに懐疑的な人も多くいます。そんな人たちに新しい考え方で働いてもらうことで、弊社からグループ全体に新しい働き方を波及させていきたいと考えています。今後は、自社のメンバーもより一層増やしていきたいと考えています。変えていくことに情熱を持てる人にぜひジョインしてもらいたいです」(柴田氏)