これまでの非臨床研究においては、熟成ホップ由来苦味酸が、自律神経の1つである迷走神経を介して認知機能や精神機能を改善することが確認されていた。そこで今回は、熟成ホップ由来苦味酸によるヒトの自律神経活動への影響を検証するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を実施したとする。

まず、事前検査を通過した34名の参加者(年齢30~64歳)が、試験食品の摂取順番が異なる2つのシークエンス(17名ずつ)に無作為に割り付けられた。そして、参加者にプラセボまたは熟成ホップ由来苦味酸のカプセルを1回摂取してもらい、試験食品の摂取前後に認知機能課題が実施された。また、試験実施中の自律神経活動をモニターするために、心拍計によって心拍変動の測定が行われた。

その結果、プラセボ群と比較して熟成ホップ由来苦味酸群では、認知機能課題実施中の総自律神経活動の指標であるTPが、統計学的に有意に増加していることが判明。また、注意機能を評価する注意シフトテストの成績や、注意シフトテストの結果から算出される実行機能スコアについて、プラセボ群と比較して熟成ホップ由来苦味酸群では統計学的に有意に向上していることも確認されたという。

  • 自律神経の変化と注意シフトテストの結果。(A)総自律神経活動。(B)注意シフトテストの正答数。(C)実行機能スコア

    自律神経の変化と注意シフトテストの結果。(A)総自律神経活動。(B)注意シフトテストの正答数。(C)実行機能スコア(出所:慶大プレスリリースPDF)

これらの結果から、熟成ホップ由来苦味酸の摂取は、健康な成人の自律神経活動を調節する効果があることが明らかにされた。また、これまでの臨床試験では、熟成ホップ由来苦味酸の継続摂取により、記憶力や注意力などの認知機能改善効果が確認されていたが、今回の試験で、1回の摂取でも注意力が向上することが新たに発見された。それに加え、これまでの試験は中高齢を対象とした試験だった一方で、今回の試験では30~60代というより幅広い世代に対して熟成ホップ由来苦味酸が効果を発揮することも示されたとする。

研究チームは今後、熟成ホップ由来苦味酸のさらなる作用機序の解明や、アルツハイマー病への有用性の臨床試験での検証が期待されるとしている。