Fast Companyは1月6日、「Artists accuse Adobe of tracking their design process to power its AI」において、Adobeアカウントのプライバシーポリシーを巡るソーシャルネットワーク上での騒動について伝えた。

Adobeは、製品やサービスの改善に役立てることを目的として、ユーザーのコンテンツを機械学習を利用した分析に利用している。端的に言えば、ユーザーのコンテンツをAIの学習に利用しているということだ。このことに気がついたアーティストコミュニティから、ソーシャルネットワークを通じてこの方針に対する批判の声が上がっている。

Fast Companyによると、きっかけはフランスのコミック作家であるClaire Wendling氏が、Adobeアカウントの「プライバシーと個人情報」のページのスクリーンショットをInstagramに投稿したことだという。その後、同様の内容がTwitterにも再投稿され、話題はアーティストコミュニティ全体に広がったとされている。

問題のページは、Adobeアカウントの「アカウントとセキュリティ」の設定の中にある。このコンテンツ分析のセクションには、「アドビは、製品やサービスを開発および改善するために、機械学習などの技術 (パターン認識など) を使用してお客様のコンテンツを分析することがあります」と記載されている。

  • Adobeアカウントの「プライバシーと個人情報」設定

    Adobeアカウントの「プライバシーと個人情報」設定

ここで言及されているコンテンツ分析の具体的な内容や利用方法は、次のFAQで解説されている。

Adobeは近年、AIを利用した製品の機能拡張に力を入れている。特に、デザインツールはユーザーに対して最適な次の一手を提案できるレベルに達している。これはAIが膨大な量のコンテンツをベースにしてベストプラクティスを学習した成果だが、アーティストの立場からしてみれば自身が築き上げてきたデザインプロセスを盗まれたように感じるかもしれない。

Adobeの説明では、AIの学習に特定のユーザーアカウントを使用しているわけではないという。また、分析対象となるコンテンツはAdobeのサーバで処理または保存されているものだけで、デバイスでローカルに処理または保存されているコンテンツは対象外となっている。そして、もし自身のコンテンツを分析に利用されたくない場合は、前述の「プライバシーと個人情報」のページで拒否できるようになっている。

Fast Companyも説明しているように、この設定は最近追加されたものではない。ただし、コンテンツ分析の許可はデフォルトで「オン」に設定されており、そのことに気付いていないユーザーも多かったようだ。

Midjourneyをはじめとする高度な画像生成AIが登場し、AIを取り巻くアーティストの権利保護に対する関心が高まっていることも、今回の騒動の一因と言える。AIを利用するツールやサービスのベンダーは、ユーザーの権利保護についてこれまで以上に慎重に対応する必要があるだろう。