アマゾン ウェブ サービス(AWS)ジャパンはこのほど、記者説明会を開催し、同社の技術者がグローバルカンファレンス「AWS re:Invent 2022」で発されした主要な新サービスのポイントを紹介した。

本誌でも、「AWS re:Invent 2022」の模様は複数回にわたりお届けしているが、例年同様、今年もさまざまな発表が行われた。「AWS re:Invent 2022」で行われた発表は同社の特設サイトで確認できる。

本稿では、CEOのAdam Selipsky氏が基調講演で発表した分析、ビジネスアプリケーションに関する新発表を中心にお届けする。

【AWS re:Invent 2022レポート】
≪AWS re:Invent 2022開幕、4つの切り口からサービス高速化の裏側を紹介≫
≪サプライチェーン可視化とリスク検知「AWS Supply Chain」、re:Inventで発表≫
≪ゲームは世界中の人が遊ぶもの、AWSジェネラルマネージャに聞くクラウド活用≫

≪AWS re:Invent 2022で発表された機械学習をラクにする新機能まとめ≫
  • 「AWS re:Invent 2022」で基調講演を行ったCEOのAdam Selipsky氏

Amazon OpenSearch Serverless

「AWS re:Invent 2022」ではさまざまな発表が行われたと先に述べたが、データ活用を支援する分析に関する発表が特に多かったようだ。その点について、アマゾン ウェブ サービス ジャパン パブリックセクター技術統括本部長の瀧澤与一氏は、「上位レイヤーのサービスが増えてきた。データは指数関数的に増えており、データ活用に対するニーズが増えている。この状況はまだ続くと見られる」と語っていた。

  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン パブリックセクター技術統括本部長 瀧澤与一氏

クラスタを管理することなく大規模な検索および分析ワークロードを簡単に実行可能にする「Amazon OpenSearch Service」のサーバレス オプションとして、「Amazon OpenSearch Serverless」が発表された。現在はプレビューの状態だ。

同オプションを利用すると、要求が厳しく予測不可能なワークロードに対しても高速なデータ取り込みとクエリ応答が可能になり、クラスタの構成と最適化が不要になる。

また、APIを使用してデータの読み込みとクエリを開始し、OpenSearchダッシュボードにおってインタラクティブなデータ分析と視覚化も可能としている。

Amazon Aurora zero ETL integration with Amazon Redshift

これは、リレーショナルデータベース管理システム「Amazon Aurora」とデータウェアハウス(DWH)「Amazon Redshift」を統合するサービスだ。これまで、両製品の連携は手動で行う必要があった。

同サービスにより、トランザクションデータがAuroraに書き込まれてから数秒以内に、そのデータがAmazon Redshiftで利用できるようになる。そのため、抽出、変換、ロード(ETL) 操作を実行するために複雑なデータパイプラインを構築・維持する必要がなくなり、ほぼリアルタイムで分析と機械学習が可能になる。

同サービスは現在、米国東部(バージニア北部)リージョンで、MySQL 8.0と互換性のあるAmazon Aurora MySQL 3の限定プレビューとして利用できる。

Amazon DataZone

同サービスは、「組織全体のビジネスデータ カタログ」「アクセス管理によるパブリッシュ/サブスクライブ ワークフロー」「データ プロジェクト」「データ ポータル(AWS マネジメント コンソールの外部)」から構成されている。

まず、データカタログのマネージドサービスとして、ガバナンスとアクセス制御が利いた形で、組織の境界を越えてデータを発見して共有することができる。

加えて、チームがデータを通じてコラボレーションするためのデータ プロジェクトという機能を持っており、使用状況の監査機能を通じてプロジェクト全体のデータを管理およびモニタリングすることができる。

そのほか、AWSマネジメントコンソールにサインインすることなく、ポータルを介して、パーソナライズされたビューでデータアセットに関する分析結果にアクセスできる。

AWS Clean Rooms

これは、数ステップでデータクリーンルームを作成することができるサービス。データクリーンルームとは、安全に保護された環境で、個人識別情報(PII)データを除去・加工し、さまざまなデータ分析に利用できる環境をいう。

昨今のCookie規制を受けて、データクリーンルームの需要が高まっている。国内でも、NTTドコモや電通がデータクリーンルームサービス「docomo data square」を提供しているほか、ヤフーが来春にデータクリーンルームの提供開始を発表している

同サービスでは、クエリ制御、クエリ出力制限、クエリログなど、クリーンルーム向けの設定可能なデータアクセス制御のセットを提供している。

同サービスを利用すると、自社の未加工のデータを共有したり公開したりすることなく、AWSを使用している数十万の企業とコラボレーションすることが可能になる。