デル・テクノロジーズは10月14日、プライベートイベントである「Dell Technologies Forum 2022 - Japan」を東京都内のホテルで開催し、基調講演終了後、米デル・テクノロジーズ グローバル チーフ テクノロジー オフィサー(グローバルCTO)のジョン・ ローズ氏が、記者からの質問に答えた。
ジョン・ ローズ氏は冒頭、自分の役割について触れ、「2つの役割があり、どんな新たなテクノロジーが出てきているのかを会社として認識していくことと、どのテクノロジーに投資をすれば事業が成長するかを見分けることだ。会社としては、クラウド、データ管理、セキュリティ、AI、エッジ、モダンテレコムという領域に注力しているが、これらに投資する理由は、現在、われわれが取り組んでいる事業と隣接する分野であること、そしてどの分野においても重要な顧客がいるためだ。現在、われわれは1000億ドル規模の会社だが、市場は1.3兆ドルある。これら6つの領域に注力することで、さらに事業を拡張し、お客様の問題を解決していきたい」と語った。
マルチクラウドのキーは統合運用管理だと思うが、自分たちオリジナルでやろうとしているのか、既存のものでやろうとしているのか?
ジョン・ ローズ氏:これまでマルチクラウドをやってきて学んだことは、Google、Microsoft、AWS、Red Hat、VMwareなど、クラウドにはいろいろなものがあるが、ほとんどが、独自の管理プレーンであり、同じように管理するのは難しいということだ。それは、ぞれぞれが、異なる形で設計されたものだからだ。われわれは、当初、それぞれの管理プレーン上にソフトウェアの階層を載せて全体を管理しようとしたが、そこにはさまざまなアプリやサービス、エコシステムもあり、このやり方はダメだという判断をした。
ただ、いろいろなパブリッククラウドがある中で、セキュリティやデータの復旧、エッジなど共通する部分があるということに気づいた。われわれは、クラウドのOSのようなものを実現したいと思っている。
ServiceNowはマルチクラウドのITシステムの管理において一貫性をもたせようとしているし、Snowflakeは、データクラウドをマルチクラウド上でできるようにしている。これらのツールを使うことで、真のマルチクラウドが実現できると考えている。
将来的に、ユーザーをAPEXにシフトさせようと考えているのか?
ジョン・ ローズ氏:APEXは選択肢の1つだ。われわれは、選択肢があることがいいことだと思っている。今後出していくソリューションについては、as a Serviceの選択肢も付けていく。APEXも提供していくか、APEXしか提供しないかいう違いだが、戦略としてはas a Serviceも提供していくということで、(これまでの)CAPEX型(設備投資型)を販売することもやっていく。
また、同席したデル・テクノロジーズ 最高技術責任者(CTO)飯塚力哉氏は、「APEXに関してはいろいろな反応がある。APEXを積極的に提供したいきたいお客様もいれば、従来型の買取型でやっていきたいというお客様もいる。そういう意味で選択肢は重要だ」と語った。
基調講演で 「Project Frontier」という言葉がでてきたが、これはどういったものか?
ジョン・ ローズ氏:Project Frontierは、先日、米国で発表したもので、マルチクラウドのエッジプラットフォームの進化版になる。クラウドにはGoogle、Microsoft、Amazon、Red Hat、VMwareなど、いろいろなものがあるが、それぞれがエッジをもっており、それ専用のエッジプラットフォームが必要だ。ただ、現実はマルチクラウドを利用しながらエッジの活用が行われている。小売店の中には、POS用、ビデオ監視用、ビル管理用、汎用、人事用など5つのエッジプラットフォームを導入しているお客様もいる。
Project Frontierというのは、ソフトウエァによる仮想エッジプラットフォームを作っていこうというものだ。このプラットフォームの下には、エッジ用のサーバがあり、ハードウェアはキャパシティのプールとして使われる。また、管理ツールも作っていき、これによってソフトウェア定義型のエッジスタックを展開していこうとしている。弊社のラボでは、1つのエッジプラットフォーム上に4-5つのクラウドエッジが動いている。
このProjectの目的は、1つのプラットフォーム上に、倫理的なソフトウェア定義型のエッジをいくつも載せられるようにするということだ。
すでに数年前から開発を行っており、お客様にも一緒にやっていきませんかという声がけをしている。製品として登場するのは、来年早々になると思う。