今回の報告では、がんや生活習慣病(糖尿病、循環器疾患など)の併存による影響を考慮した約6万人の解析から、睡眠薬を週1回以上定期的に服用している人の死亡リスクが高いことが示されたという。研究チームによると、今回の研究は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が不眠症治療の主翼を担ってきた時期の調査結果となるとしているほか、睡眠薬を服用している日本人の死亡リスクを示した初めての研究成果になるとしている。

特に今回の解析からは、男性かつ60歳未満の人において高い死亡リスクが示されており、より慎重に薬物療法のリスクとベネフィットを考慮した不眠症のコントロールが必要であることが示唆されたとするほか、睡眠薬を服用していない人と比較して、服用していた人では循環器系、神経系、損傷、中毒、および外的要因が関連する死亡がより多く見られたともしている。

なお、2014年以降、不眠症の薬物療法に対する薬物選択の幅は広がってきており、より安全な薬物療法が今日まで検討され続けていると研究チームでは説明している。今後は、非薬物療法も含めた、個々の睡眠薬による不眠症治療の長期的予後についての評価を実施することで、より安全で効果的な不眠症の治療を行うことが可能となるとしている。