デル・テクノロジーズは10月12日、米国本社からインターナショナルマーケット プレジデント アンガス・ヘガティー(Aongus Hegarty)氏が来日し、同社のグローバルのビジネス状況とESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)に関するビジョンと戦略について説明した。
同氏はヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア太平洋、中国、中南米を含む米国とカナダ以外の170カ国以上にまたがるデル・テクノロジーズのインターナショナルマーケットのプレジデントを務め、これらグローバル地域全体のビジネスと戦略全般の責任を担っている。
まず同氏は、グローバルの業績に触れ、2023年度第2四半期(2022年5月~7月)の売上が前年比9%増の264億ドル(約3兆8280億円)となった点について、「お客様にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)はトップの課題であり注力している。それが業績を押し上げた要因だ。CSG(クライアント ソリューション グループ)とISG(インフラストラクチャ ソリューション グループ)での成長が顕著になっている。現在は、ビジネス、景気という面で厳しい状況だが、その中でも順調に収益をあげることができた。世の中は、インフレや景気の減速で厳しい状況だが、テクノロジーに投資することによってコストを抑えることができる。また、労働力不足の解決にもつながる。お客様はテクノロジーに対する投資を惜しまないということで、長期的な展望は明るいと考えている」と述べ、今後、景気が後退しても、テクノロジーへの投資は続いていくとの考えを示した。
また日本のPC市場に関して日本法人の大塚社長は「入れ替えのサイクルにより変動するが、デジタル変革への投資は、日本市場においても加速していく。日本のDXは、コロナ禍を経て、実装の段階になっている」と語り、日本の顧客はDXへの投資は、今後も積極的だという見解を示した。
同社は研究開発に力を入れており、過去3年間で75億ドル(約1兆円)の研究開発投資を行っている。とくに、ISGエンジニアリング スタッフの85%を占める、ソフトウェアの投資に注力しているという。具体的には、人工知能や機械学習技術を活用し、複雑なものをシンプルにするためのソフトウェアだという。
「今後デル・テクノロジーとしては、これまでの中核領域に投資を行うとともに、新たな成長領域(as a Service、5G、エッジ)を開拓することもやっていく。お客様のエコシステムを作り、マルチクラウドを支援していく流れになる」(アンガス・ヘガティー氏)
同氏は日本市場にも触れ、「日本では国家の掲げる戦略を支援するというスタンスになる。日本ではいろいろな領域に投資しているが、労働生産性の向上、5G、デジタル決済、自動走行、観光庁のデジタル化を進めていく」と述べた。
ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))に関して同氏は、「われわれは、ESGゴールを達成をすることに、強くコミットしている」と語り、具体的なゴールとして、2030年までに販売する製品と同等量の製品をリユース、リサイクルする、2030年までに梱包材のすべてをリユース、リサイクルできる素材にする、2030年までに、販売する製品の半分以上はリユース、リサイクル可能な素材にする、2050年までに温室効果ガスのScope1、Scope2、Scope3のすべてをネットゼロ(実質ゼロ)にすることを挙げた。
インクルーションの促進について同氏は、女性社員の比率は現在約34%、管理職の女性比率は約28%で、「昨年から2%上昇し、2030年までの最終目標(従業員男女比率を「50:50」にする)に向け大きく進捗している」と述べた。
また同社は、人々の生活を変えるというSocialの面では、教育やヘルスケアの取組により昨年、6600万の人を新たに支援したという(累計は1億6000万人)。
「支援する人が大きく伸びた要因には、デジタルライフケアプログラムがある。また、NPOと連携することによって、多くの人を支援できた。ESG、サステナビリティ、インクルージョン、地域への貢献といったものが、調達要因の中にも組み込まれているケースは増えている」(アンガス・ヘガティー氏)
同社では、as a Servieceとして、APEXを推進しているが、ビジネスモデルが変化するにあたり、一時的に売上が落ち込むこともあるのではないかという質問に同氏は、「APEXによってビジネスモデルが変わり、売り上げが落ちるかもしれないが、その可能性は織り込み済だ。非常に大きなシフトになるので数年かけてやっていく。ただ、as a Servieceへの引き合い、デマンドは大きくなっている。売る上げ構成は変わるかもしれないが、ビジネスとしては非常に大きい」と語った。