デル・テクノロジーズは、中堅企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために必要な人材の育成を支援する「中堅企業DXエンジニア養成講座」を無償で提供している。これは、同社が中堅企業を対象に行った「IT投資動向調査」の中で、DX推進のカギは自社内の人材育成だと回答する企業が多かったためだ。
2020年には「機械学習実践教育コース編」が、2021年は「データ分析・AI活用編」、そして、2022年には「RPA/データ分析編」が、いずれも全8回(1回あたり1時間30分)、オンラインで実施された。
2022年の「RPA/データ分析編」は、6月23日に第1回を開催し、9月29日に最終回(第8回)を迎えた。RPAについては、マイクロソフトRPAツール「Power Automate」、 データ分析では同じくマイクロソフトのBIツール「Power BI」を活用している。
コースカリキュラム・日程表は以下の図の通りだ。
なお、「中堅企業DXエンジニア養成講座」は、産学連携講座として実施しており、奈良先端科学技術大学院大学とdToshが協力し、講師を派遣している。
今回、9月29日の第8回の講義を取材する機会を得たのでレポートする。
「Power BI」でデータ分析を実践
第8回の講義は「データ分析実践」、「データの基本描画」、「移動平均」、「傾向と予測」という4つのPartに分かれていた。いずれも、「Power BI」を活用し、テーマパークのおみやげの売上データを分析して、将来の売上を予測するという課題に取り組んだ。
講習は、受講者が講師の説明を聞きながら、同じ操作を自分のPCで実践する体験型講習になっている。
Part1のデータ分析実践では、今回の講義で使用するデータ分析用のExcelシートである「品目マスタシート」、「カレンダーシート」、「売上記録」シートという3つのファイルの内容を説明。
Part2のデータの基本描画では、3つのExcelシートを「Power BI」に読み込み、グラフ化する手順を説明。グラフは、売上の内訳示すドーナツグラフと、売上の推移を示す、折れ線グラフの2つを描画した。
Part3では本題であるデータ分析で、売上の傾向を探るため、移動平均を使った折れ線グラフの描画にチャレンジした。
そしてPart4では、過去の売上から未来を予測するため、傾向線(単回帰分析)を描き、今後の売上予測の折れ線グラフを描画した。
今回のコースは、下図の講習会資料からもわかるとおり、初心者向けの内容であった。講師は、操作手順を説明したあと、同じ操作を実際にやって見せるなど、ゆっくりとしたペースで進んだ。そのため、参加者へのアンケートでも「とてもわかりやすかった」「講師の説明が大変丁寧だった」と高評価であった。なお、参加者には、終了証が授与された。
一方、中級者や上級者にとっては、ややもの足りない面があったかもしれない。
デル・テクノロジーズ 西日本副支社長 兼 広域営業統括本部 フィールドセールス本部 西日本営業部長 木村佳博氏も、「レベル設定については、私どもも頭を悩ませている。今回は初級編であったが、中級編、上級編というのも企画している」と、今後対応して考えを示した。
「中堅企業DXエンジニア養成講座」の今後の予定としては、来年1月に「Pythonによるデータ分析モデル構築」という、より実践的なものが用意されているほか、来年から業務への活用に向けた新プログラムを企画しているという。また、ゼロタッチPCというテーマで、ひとり情報シスの負荷軽減に向けた講座も実施するという。
講師を務めた奈良先端科学技術大学院大学 特任助教およびdTosh 代表取締役社長 平尾俊貴氏は講習を終えて、「今回のRPAやPower BIは、データにアレルギーがある人でも取り組みやすいので、社内でどんどん展開していただきたい」と挨拶した。