群馬大学(群大)は9月14日、単機のドローンに吊り下げた空中のスクリーンに地上から映像を投影する原理に基づいた、広い空間で多くの人が見られる空中ディスプレイ技術を開発したことを発表した。
同成果は、群大 情報学部/大学院 理工学府 電子情報部門の奥寛雅教授らの研究チームによるもの。詳細は、9月12日から14日まで札幌市立大学にて開催された「第27回バーチャルリアリティ学会大会」にて発表された。
近年、さまざまなイベントでドローンによるショーが催されており、上空に映像を表示する技術に注目が集まっている。ドローンショーでは、1つ1つのドローンが数個のライトを保持しており、そのようなドローンを数多く空に浮かべることで光の点の集合として映像を表示している。しかし、ドローンショーは数百機のドローンを同時に利用するために必要なコストが1000万円前後と高く、大規模なイベントでないと実施が難しいという課題があった。
そこで研究チームは今回、単体のドローンが吊り下げたスクリーンに地上から映像を投影することで、比較的低コストに空中ディスプレイを実現することにしたという。そして、数十m以上離れた場所を飛翔するスクリーンを追跡しながら、そこに映像を投影する技術が開発された。
今回の技術の核となるのは、遠方を飛翔するドローンに吊り下げられたスクリーンに合わせて映像(光)を投影する方向を高速に調節する仕組みにあると研究チームでは説明する。3つの大口径の回転鏡と高速ビジョンセンサ、レーザープロジェクターを組み合わせて、同技術を開発したという。実験では、飛翔するドローンが吊り下げたスクリーンに合わせて映像が投影されるように高速で鏡の角度が制御され、安定した映像投影が実現され、この成果を踏まえ、研究チームでは、今回の投影技術は、観光地や屋外イベントでの広告や演出、災害時の標識などへの活用が期待できるとしている。