名古屋大学(名大)、大阪大学(阪大)、東洋アルミニウム、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の5者は9月13日、東洋アルミニウムが独自開発した特殊なペーストをシリコン単結晶基板に印刷して熱処理を行うことで、高品質な「SiGe半導体」を非真空で実現することに成功したことを発表した。

同成果は、名大大学院 工学研究科の福田啓介大学院生(研究当時)、同・宮本聡特任講師、同・宇佐美徳隆教授、阪大大学院 工学研究科・東洋アルミニウム半導体共同研究講座のダムリン・マルワン特任教授(東洋アルミニウム シニアスペシャリスト兼任)、東北大 金属材料研究所の藤原航三教授、NAIST 先端科学技術研究科 物質創成科学領域の浦岡行治教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

CO2削減に向け、化石燃料を用いないエネルギー源の確保が求められており、そうした技術の1つとして高効率な太陽電池が期待されている。超高効率太陽電池としては、複数の化合物半導体薄膜太陽電池を積み重ねる多接合太陽電池がすでに実用化されており、すでに30%を超すエネルギー変換効率も達成したものも登場している。しかし、そうした多接合太陽電池は製造コストが高いという課題がある。製造コストが高止まっている要因の1つが、化合物半導体薄膜をエピタキシャル成長させるための半導体基板として用いられるGe基板とされ、製造コストの50%以上を占めているとも言われている。

そこで研究チームは今回、Ge基板を代替することを目指し、安価なSi基板上に、SiとGeの混合材料であるSiGe膜を、低コストに作製する技術開発に取り組むことにしたという。

今回着目したのは、東洋アルミニウムが独自開発した、AlとGeの合金を含むペーストをSi基板上に印刷し、非真空下で数分程度の熱処理を行うというシンプルな技術だという。