Metaの日本法人であるFacebook Japanは9月9日、XRクリエイター向けの教育プログラム「Immersive Learning Academy」を日本で提供開始することを発表した。XRとは、AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)などの総称だ。
このプログラムでは、初心者からプロフェッショナルまで広いレベルの人材に対し、ARおよびVRの創作スキルを身につける機会を提供する目的で実施する。日本では、角川ドワンゴ学園と連携してARやVRに関する教育プログラムも展開予定だ。
米FacebookがMetaへと社名を変更したことからも明らかなように、同社はメタバースの構築に注力している。また、そのためのミッションとして「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」を標榜している。
同社はメタバースの実現に必要となる、ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーの開発を進めている。VRヘッドセット「Meta Quest」は好調なようで、2022年2月時点で売上は10億ドルを超えているそうだ。社名変更に伴い、「Oculus Quest from Facebook」のブランド表記は、「Meta Quest」に変更された。日本はMeta Questのビジネスにおいて重要な国の一つに位置付けられており、ユーザーの多さもさることながら、デベロッパーやクリエイターの多さが特徴だという。
ソフトウェアについては、2021年8月より提供を開始したビジネス会議用VR「Meta Horizon Workrooms」や、2022年6月より提供を開始した個人向けメタバース空間サービス「Meta Horizon Home」などが好評とのこと。2023年までにメタバースプラットフォーム「Meta Horizon Worlds」のローンチも予定している。同社は「Horizon」というブランドの下、メタバースサービスを展開している。
このように、同社のメタバースビジネスで重要な市場に位置付けられている日本において、同社は次世代のXRクリエイターを育成するための教育プログラム「Immersive Learning Academy」を開始する。クリエイターがメタバースを構築するための最先端のスキルを身に付けることを支援するという。
Metaのアジア太平洋地域の公共政策統括を務めるSimon Milner(サイモン・ミルナー)氏は「日本はメタバース市場において先進的な国と言える。日本のクリエイターたちのコミュニティは活気にあふれており、今後のメタバースの実現に重要な役割を果たすはず。Immersive Learning AcademyによってXRに関わるさまざまな技術を向上させ、新しいクリエイターたちにインスピレーションを与えたい」と、プログラム実施の背景を説明した。
Immersive Learning Academyでは、Metaが提供するオンライン学習プログラム「Meta Blueprint」サイト内にて、Spark ARオンラインカリキュラムを提供する。このカリキュラムは誰もが無料で受講可能だ。まずは第一弾として、基本的なARエフェクトの作り方を学べる1.5時間のクイックスタートコースを開始する。今後はより高度な内容を学べるAR基礎や、ARのプロ向けのオンラインカリキュラムなどを順次公開予定。
これに加えて、角川ドワンゴ学園と連携したオンラインワークショップやイベントなども実施予定とのことだ。
Facebook Japanの代表取締役である味澤将宏氏は「私たちのビジネスにとっても、今後のメタバースの実現にとっても、日本は非常に重要な市場だ。今後も引き続き投資を続けるとともに、日本経済や社会に貢献できるよう社員一同で尽力していく」と力強く語って説明会を結んだ。