理化学研究所(理研)、早稲田大学(早大)、シンガポール南洋理工大学の3者は、光エネルギーで再充電可能な電源ユニットを含む電子部品を搭載したサイボーグ昆虫を開発したことを発表した。
同成果は、理研 開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室の福田憲二郎専任研究員(理研 創発物性科学研究センター(CEMS)創発ソフトシステム研究チーム専任研究員兼任)、同・染谷隆夫主任研究員(理研 CEMS 創発ソフトシステム研究チーム チームリーダー兼任)、早大大学院 創造理工学研究科 総合機械工学専攻の梅津信二郎教授、シンガポール南洋理工大の佐藤裕崇准教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系のフレキシブルエレクトロニクスに関連する全般を扱う学術誌「npj Flexible Electronics」に掲載された。
都市型捜索救助、環境モニタリング、危険地域の検査などに対し、行動制御用の小さな集積回路を備えたサイボーグ昆虫が考えられている。サイボーグ昆虫の移動を無線で長時間制御し、環境データを取得するには、10mW以上を生成できる太陽電池などの環境発電装置が必要とされている。
太陽電池の出力は面積に比例するが、サイズが大きくなるとその重さと大きさから可動部の動きが制限され、昆虫の運動能力を損なってしまうため、昆虫の運動能力を維持したまま発電装置を取り付けて、10mW以上の出力を達成するのはこれまで困難だった。
そこで研究チームは今回、柔軟で超薄型の有機太陽電池モジュールをはじめとする電子デバイスを、昆虫の基本的な運動能力を損なわずに実装し、再充電と無線通信が可能なサイボーグ昆虫の作製をすることにしたという。