東北大学と東京大学(東大)は8月29日、約19億年前(初期原生代)の微生物化石である「ガンフリント微化石」の再評価を行い、従来の報告にはない形状を持つ、コロニー型、楕円型、細胞組織内包型、有尾型、トゲ型の5つの新型の微生物化石を発見し、これらはそれぞれコロニー形成、栄養備蓄、さらに運動性や栄養確保といった生存に有利な機能を発現させたものであることに加え、その一部は真核生物特有の形状である可能性が明らかになったことを発表した。
同成果は、東北大 大学院理学研究科の笹木晃平大学院生(現・研究員)、同・石田章純助教、同・掛川武教授、東大 大気海洋研究所の佐野有司名誉教授(現・高知大学 海洋コア総合研究センター長)、同・高畑直人助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、地球と太陽系の地球型惑星に関する全般を扱う学術誌「Precambrian Research」に掲載された。
カナダのガンフリント層から発見された約19億年前のガンフリント微化石は、科学史上初の原核生物の化石群として知られており、この発見以降、原核生物の形態多様性や、原核生物から真核生物への進化の時期の検討など、微生物化石の研究が一気に促進されることとなったとされる。
ガンフリント微化石は以降の微化石研究の基準として扱われてきたが、それ自体の多様性に関する検討は、1970年代以降ほぼ更新されておらず、同時代の他地域の地層に報告されているコロニー型微化石など、環境に対応して機能的に進化した原核生物の痕跡や、18億年前より新しい地層から報告されている真核生物様の微化石は、ほとんど報告がなかったという。そこで研究チームは今回、ガンフリント微化石の再評価に取り組むことにしたという。
研究としては、ガンフリント層での地質調査が実施され、微化石を含むストロマトライトが新たに採取され、そうした採取試料から岩石薄片が作成され、微化石の形状記載や3次元構造、サイズ分布の検証など、これまで報告されているガンフリント微化石との詳細な比較が行われたという。その結果、従来型ガンフリント微化石とは形態的に異なる、コロニー型、楕円型、細胞組織内包型、有尾型、トゲ型の5つの有機物微小組織が発見されたとする。
また、詳細な複数の微小領域化学分析が行われ、非生物的な成因につながる可能性がすべて排除された結果、これら5つの微小組織が新型の微化石であることが証明されたともする。