bitFlyer(ビットフライヤー)とナナメウエは8月23日、IEO(Initial Exchange Offering)事業に参入し、第1弾としてグループ通話やテキストで交流するWeb3時代のバーチャルワールド「Yay!」を運営するナナメウエと、IEO実施に向けた契約を締結したと同日に行われたオンライン会見で明らかにした。

  • 左からbitFlyer 代表取締役の関正明氏、ナナメウエ 代表取締役の石濵嵩博氏、bitFlyer 新規事業開発部 副部長の大和省悟氏

    左からbitFlyer 代表取締役の関正明氏、ナナメウエ 代表取締役の石濵嵩博氏、bitFlyer 新規事業開発部 副部長の大和省悟氏

Web3で世界との差が開く日本

IEOとは、暗号資産交換業者が企業やプロジェクトのトークン発行によるコミュニティの形成・育成、資金調達を支援する仕組み。暗号資産交換業者はトークンを発行する企業やプロジェクトの事業性評価、調達資金の使途、また発行されるトークンの審査を実施し、発行されたトークンの販売・流通を行うというものだ。

  • IEOの概要

    IEOの概要

今回の契約締結により、ナナメウエは自らの運営するバーチャルワールド「Yay!」内で利用可能なトークン「YAY」の発行、bitFlyerは「YAY」の受託販売をそれぞれ目指し、両社で取り組む。

bitFlyer 新規事業開発部 副部長の大和省悟氏は「創業8年で急速に成長し、2017年にはビットコイン取引高で世界1位になり、暗号資産市場をけん引してきたという自負がある。しかし、現在では暗号資産先進国は日本からアメリカに移り、Web3の覇権を奪われかねず、国力低下へのリスクもある」と指摘。

昨今、Web3時代の進行によりIEOへの注目度が高まっており、ゲームやスポーツなどさまざまな業界でIEOが実施・計画されている。2014年に創業したbitFlyerは、ブロックチェーンをベースとした「新たな金融プラットフォーム」の構築にチャレンジしており、特に国内でのビットコイン流通などに貢献してきた。

一時期、日本では世界最大のビットコイン取引量を誇るほどにブロックチェーン・暗号資産を身近なものになったが、昨今の暗号資産業界は暗号資産取引量のみならず、ブロックチェーンでの金融取引に加え、Web3時代の新サービス・プロジェクトにおいて世界に差をつけられ始めているという。

イノベーションの覇権を日本に取り戻すために

こうした状況を背景に大和氏は「グローバルでWeb3のプロダクトが発展しているが、日本では暗号資産の取引量が低下し、ビジネスイノベーションの覇権で海外に後れを取っている。そのため、日本初・日本発でトークンを発行し、自律分散型経済圏を構築する企業・プロジェクトを支援する。暗号資産・ブロックチェーン業界の発展を後押しし、業界におけるイノベーションの覇権を日本に取り戻すため参入を決めた」と強調する。

IEOは発行体の主体は企業やプロジェクト、発行対象はユーティリティトークンやガバナンストークンなどの暗号資産、保有するベネフィットはエコシステム投票権利など自由度が高く、自律分散型経済圏・コミュニティの構築・資金調達を目的としている。

  • IEOの特徴

    IEOの特徴

発行体がIEOで調達した資金を用いて、トークンをからめたプロダクトをグロースさせ、トークンとプロダクトでつながったコミュニティを育て、自律分散型経済圏を構築する。つまり、ネットワークの成長とトークンの価値向上という共通の目標に向けて、多様なステークホルダーが協調することでトークンが生み出す独自の分散型経済圏が発展していくという。

  • プロジェクトの全体像

    プロジェクトの全体像

bitFlyerでは、有望な企業・プロジェクトによるトークン発行やエコシステム組成・拡大、コミュニティ醸成をサポートし、Web3時代をけん引するIEOプラットフォームを目指すとしている。

  • bitFlyerが提供するIEOの機能

    bitFlyerが提供するIEOの機能

大和氏は「今後、Web3のプロダクトではトークンの存在が必要不可欠のため、IEOはステークホルダーの協調を資金調達、コミュニティ形成の側面から後押しする。ユーザーと企業・プロジェクトのハブとなり、グローバルで広がるトークンエコノミーを醸成する」と説明した。

また、bitFlyer 代表取締役の関正明氏は「当社には時代を読む力、高いセキュリティ意識、顧客目線という強みがあり、IEOを国内でも身近な自律分散型経済圏の構築手段としていきたい」と述べていた。

サステナブルなトークノミクスの実現

一方、ナナメウエは2013年に代表取締役の石濵嵩博氏が創業し、「Yay!」はメディア化しない匿名性のプラットフォームとして、フラットな構造で他人に寛容で誰もが素を出せるSNSとうたっており、2020年のリリースから2年半で登録者数は550万人、1日あたりの通話時間が700万分以上、投稿コメント数は同300万件以上に成長しているという。

石濵氏は「当社は他人の目を気にして息苦しいSNSより、心から素が出せる他人に寛容なSNSとして、“ソーシャルの民主化”を達成する。現状ではDeFi(分散型金融)で資産を増やした後はステーブルコインやNFT(非代替性トークン)とユーティリティが少ない。そのため、デジタル空間に個々のアイデンティティが宿るメタバースこそが暗号資産全体の新しい出口になり、当社こそがメタバースの本命だ。bitFlyaerさんと日本でNFTの販売とIEOに挑戦し、サステナブルなトークノミクスを実現する」と力を込めていた。

  • Yay!がメタバースの本命だという

    Yay!がメタバースの本命だという

大和氏は、今回の契約締結に関して「ナナメウエさんはYay!に加え、安全対策を講じるための自社AIプロだくを持ち、外販も行うなどメインプロダクト以外もグロースしており、SNS、暗号資産、メタバースをはじめとした周辺領域それぞれの課題感を認識したうえで目指す世界を定め、ビジョンも明確だ。さらに、安全対策のみならずコンプライアンスチームの組成や関係省庁へのロビイング活動も活発に行っており、基本合意を締結した」と振り返った。

なお、bitFlyerがナナメウエの発行するトークン「YAY」の受託販売を行うにあたっては、今後のbitFlyerによる販売の可否の審査を経て、日本暗号資産取引業協会から販売について承認を得る必要があり、現時点で販売の可否および取引開始時期について確約されたものはないという。