具体的には、180℃の高圧水蒸気が用いられ、それによって処理が行われたところ、リサイクルコンクリートの圧縮強度が約5倍に増進し、一般的なコンクリートと比較して約2倍の強度が得られることが確認されたという。分析の結果、高圧水蒸気処理により、リサイクルコンクリートの組成にはほとんど影響を与えず、粗大な間隙が減少していることが確認され、これにより強度が増進していることが考えられると研究チームでは説明している。
また、一般的な砂・砂利を用いたコンクリートのみでなく、製鉄の副産物である鉄鋼スラグを砂・砂利の代わりに用いたコンクリートにおいても、今回の手法は効果的であることも明らかにされたという。
今回の成果により、新たな材料を投入せず、副産物もまったく発生しない形で、大量に発生するコンクリートがれきのリサイクルが期待できるようになったほか、セメントを使用しないため、大量に発生するCO2の排出が抑制されるというメリットも生じることとなるという。また、新たな材料を投入しないということは、原料採取に伴う森林伐採や河床、海底掘削などが回避される副次的なメリットも得られるとしている。
なお、研究チームは今後、リサイクルコンクリートの大型化や鉄筋などによる補強効果の検証、長期の耐久性評価などを行う予定としている。