各ゾーンの見どころを紹介!

三沢航空科学館には、「航空」「科学」「宇宙」という3つのゾーンが用意されている。以下、各ゾーンの展示を簡単に紹介していきたい。

航空ゾーンでは、青森県に縁のある歴史的な機体の展示を見ることができる。「ミス・ビードル号」は、世界で初めて、太平洋無着陸横断飛行に成功した機体で、離陸したのはここ三沢の海岸だった。そのほか、「奈良原式2号機」「白戸式旭号」など、懐かしい感じのする複葉機も展示されている。

  • 「ミス・ビードル号」の復元機

    「ミス・ビードル号」の復元機。三沢から太平洋無着陸横断飛行という冒険に飛び立った

  • 「奈良原式2号機」の復元機

    左が「奈良原式2号機」の復元機。これは1911年(明治44年)、初めて飛んだ国産機である

また「航研機」は、東京帝国大学・航空研究所が開発し、1938年(昭和13年)、当時の周回飛行距離の世界記録となる11,651kmの長距離飛行に成功した実験機だ。この機体の設計、製作、テストパイロットとして、3名の青森県人が関わっていたという。

  • 航研機

    「航研機」の復元機。日本の航空史上において、世界記録というのは歴史的な偉業だった

そのほか、リニューアル時に追加された新展示として、「HondaJet技術実証機」を見ることができるのは大きなポイントだろう。これは2003年に、HondaJetとして初めての飛行に成功した、記念碑的な機体である。この常設展示のために、開発拠点がある米国ノースカロライナ州から初めて日本に輸送されたそうだ。

  • 「HondaJet技術実証機」

    「HondaJet技術実証機」の貴重な展示。筆者は見る時間が無かったため、画像は科学館に提供してもらいました…… (C)Honda Aircraft Company

科学ゾーンにも、航空科学館らしい展示が盛りだくさんだ。「プローブIV」は、圧縮空気の力により、浮上する感覚が楽しめるというものだ。10m近くも浮上するカプセルは、最大6人乗り。空気による浮遊感は独特だ。

  • 「プローブIV」

    「プローブIV」も高さのある展示だ。大きな音とともに圧縮空気の力で上昇する

また、リアルな操縦が楽しめる本格的なフライトシミュレータも用意。セスナ用とヘリ用の2台があり、セスナ用は飛行に合わせて筐体も動く。セスナ用のコクピットには2人座れるようになっているため、まだ操縦が難しいような小さな子供でも、大人と一緒に体験できるだろう。

そしてリニューアル時に新設されたのが宇宙ゾーンだ。入口にそびえ立つのは、H-IIBロケット7号機のフェアリング。これはなんと海上で回収された実機で、あちこち損傷しているが、実機ならではの迫力が伝わってくる。損傷している場所では、内部のハニカム構造も見ることができる。

  • H-IIBロケットのフェアリング

    2Fに上がったところにあるのが宇宙ゾーン。右に見えるのがH-IIBロケットのフェアリング

  • 損傷も、実際に打ち上げられた実機ならではの迫力

    損傷も、実際に打ち上げられた実機ならではの迫力だ。軽量化のためのハニカム構造が見える

宇宙ゾーンにも体験型展示があり、「ZEROグラビティ360」では、前後左右に360°グルグル回転し、宇宙飛行士の訓練気分を味わうことができる。また「宇宙探査ミッション」では、シーソーの重りを調節して、月面、火星、冥王星でのジャンプを体感できる。

  • 宇宙ゾーン

    宇宙ゾーン。左奥が「ZEROグラビティ360」だ

  • 小惑星探査機「はやぶさ2」の実物大模型

    小惑星探査機「はやぶさ2」の実物大模型もあった

青森県ということで、関東からはやや遠いものの、新幹線を使えば、思ったほど時間はかからない。現在は新型コロナ第7波の真っ最中ということもあり、なかなか気軽にお出かけできるような状況ではないかもしれないが、館内はしっかり感染拡大防止対策もとられているので、状況を見つつ、ぜひ楽しんでみて欲しい。

  • 「科学実験工房」

    そのほか「科学実験工房」では、サイエンスショーやワークショップも行われている

  • お土産コーナー

    気になるお土産コーナーは、自衛隊グッズや、飛行機関係の商品が充実していました