IDC Japanは8月3日、5G(第5世代移動通信システム)の利活用に関する国内企業へのアンケート調査結果を発表した。同調査にて、産業現場の働き方に関する課題が上位に多く挙がったことから、日本企業は5Gで解決したい課題として「現場の働き方変革」を重視していると同社は分析した。

同調査では、5Gを利用する予定がある企業に、5Gで解決したい課題の中から優先順位の高いものを最大3つまで順序を付けて回答してもらった。その結果、回答比率が高かった課題の上位に「自動化、省人化」「働きやすい職場づくり」「作業の遠隔化、労働力の広域シェア」が並んだ。また、「従業員の安全性の向上」は回答比率が5番目に高かった。

第1位の「自動化、省人化」と第2位の「働きやすい職場づくり」については、国内で深刻化する労働力不足が背景にあると同社では見ている。特に、若者にとって魅力の乏しい職場(作業が単純でつまらない、危険が多い、残業が多い、上下関係が厳しい)や労働集約型で労働者一人当たりが生み出す付加価値が低いがゆえに給与水準が低いといった現場では、労働力の確保が困難になりつつある。

労働力不足の解決策として今後、多くの企業が5Gとロボット、AI、自動運転などを組み合わせて、単純作業や危険作業を減らしたり、また、資本集約型への転換を図るための設備投資を行うなどの取り組みを加速すると同社は考える。

  • ユーザー企業が5Gで解決したい課題(有効回答数171)

    ユーザー企業が5Gで解決したい課題(有効回答数171)、出典:IDC Japan

調査結果の詳細は、同社が2022年6月に発行した調査レポート「2022年 国内産業分野向け5G 市場 企業ユーザー調査:5Gがもたらす価値と5G利用の展望」で報告されている。