100年に一度の変化が起きていると言われる自動車業界。この大きなうねりの中で、SUBARUはどのようにデジタル、そしてDXに向き合っていくのだろうか。同社 専務執行役員 CIO (最高情報責任者) IT戦略本部長 兼 経営企画本部 副本部長を務める臺卓治 氏が、6月23日、24日に開催された「TECH+ EXPO 2022 Summer forデータ活用 データから導く次の一手」に登壇。「SUBARU×デジタル『大きな変化の中でSUBARUが目指すDX』」と題した講演を行った。

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目指すのは、ブランドと顧客の結び付き強化

SUBARUは「お客様第一を基軸に『存在感と魅力ある企業』を目指す」という経営理念の下、「選択と集中」「差別化」「付加価値戦略」という3つの経営戦略を推し進めている。

  • SUBARUが掲げる3つの経営戦略

「我々は『モノを作る会社から、笑顔を作る会社』への転換を目指しており、お客さまに提供する価値を"安心と愉しさ"と定義付けています」(臺氏)

自動車業界では"CASE"という100年に一度の変化が起きていると言われている。これは、「Connected」「Autonomous」「Shared & Service」「Electric」の4つの頭文字から作られた言葉であり、臺氏は「CASEは大きな2つの変化を含んでいる」と話す。

「1つ目は、車が外と繋がる『Connected』によって、今までできなかったサービスが実現できること。『Shared Service』や『Autonomous (自動運転)』、そして『MaaS』などもConnectedのプラットフォームがあって実現するものと考えています。2つ目は『Electric』です。カーボンニュートラルのために電動化が求められています」(臺氏)

その上で、経産省の示すDXの定義について「ビジネスモデルの変革」という外に向かう話、「業務や組織、プロセス、企業文化の変革」という内に向かう話があると自身の考えを示した。

自動車メーカーは長い間単一のビジネスモデルを続けており、ビジネスモデルの変革から入ると社内がなかなかまとまらない。そこでSUBARUは、ブランドと顧客の結び付きを強くしていく「ゴール」を設定して、"モノ"づくりを強化するとともに、車を使った"コト"づくりの2面からの取り組みを始めたという。

「ディーラーを介してではなく、自動車メーカーが直接お客さまとのタッチポイントを持ち得るようになりました。我々がお客さまの新しい"コト"づくりをすることで再購入サイクルを作っていきたいと思っています。そのためにもSUBARUという車、"モノ"が受容されなければなりません」(臺氏)