グーグル・クラウド・ジャパンは7月13日、オンラインでスタートアップ企業向け支援に関する記者説明会を開催し、今年リニューアルしたGoogle for Startups クラウドプログラムを説明したほか、昨年プログラムに参加したSynspective(シンスペクティブ)とUbie(ユビー)における事例が紹介された。

国内のスタートアップが調達した資金総額が過去最高に

はじめに、グーグル・クラウド・ジャパン SMB 事業本部長の長谷川一平氏がリニューアルしたGoogle for Startups クラウドプログラムについて説明した。そもそも、Googleがスタートアップを支援する背景としては、同社自体がスタートアップとして事業を開始している点にある。

また、2021年にGoogle Cloudは新しいリソースやメンターシッププログラムをリリース、Googo Cloud Startup Summitの初開催、スタートアップ企業をサポートする専任チームの拡大をはじめ、スタートアップ企業がクラウドで事業を拡大し、成功できるようにするための支援を強化している。

そして、昨年には国内のスタートアップが調達した資金の総額は7800億円と前年比46%成長しており、日本のスタートアップ市場は過去最高の資金調達金額を記録し、成長が著しいという。

さらに、政府では岸田文雄総理大臣が2022年を「スタートアップ創出元年」としているほか、日本経済団体連合会(経団連)でも「スタートアップ躍進ビジョン」で起業数、成功の基準共に10倍に引き上げる方針とし、具体的な数値目標が設定されている。

  • 昨年、国内におけるスタートアップが調達した資金総額が過去最高に達した

    昨年、国内におけるスタートアップが調達した資金総額が過去最高に達した

このような背景をふまえ、長谷川氏は「当社は2014年からスタートアップの支援を行っており、累計610社を支援し、プログラムを通して支給してきたクレジットは総額1740万ドルにのぼる。当社のプログラムは初期段階のスタートアップ企業にサポートを拡大しており、迅速かつ最小限のコストで事業を拡大することをサポートしている」と述べた。

  • グーグル・クラウド・ジャパン SMB 事業本部長の長谷川一平氏

    グーグル・クラウド・ジャパン SMB 事業本部長の長谷川一平氏

資金、技術、ビジネス面で支援するGoogle Cloud

初期段階のスタートアップで株式投資を受けている場合はプログラムで支援していたが、リニューアルに際して、株式投資を受けていないスタートアップに対しても2000ドルのクレジットやスタートアップ担当によるオフィスアワー、エンジニアとのテクニカルセッションなどでサポートを受けることが可能になった。

また、これまでの資金面でのサポートに加え、技術面、ビジネス面の3つの柱を軸にサポートしていく。長谷川氏は「このようなプログラムは資金面でのサポート、つまりクレジットの額が注目されがちだが、資金面だけでは不十分なため当社はビジネス面、技術面もサポートしていく」と力を込めた。

  • Google for Startups クラウドプログラムを刷新した

    Google for Startups クラウドプログラムを刷新した

資金面のサポートでは、1年目はGoogle CloudまたはFirebaseの利用料100%をカバーし、上限は10万ドルまで、2年目は利用料20%をカバー、上限を10万ドルまでとなり、2年間でそれぞれ受け取レスクレジットの上限は計20万ドル。同氏は「昨年までは1年真竹だったが、今年から大きく変わったのは2年目以降のクレジットも支援することだ」と説明する。

技術面のサポートは、プログラム担当によるサポート、Googleエンジニアによる1対1のガイダンス、専門家による指導、技術トレーニングサイトにアクセスできる。

ビジネスに対するサポートに関しては、Google Cloudのエンタープライズユーザーコミュニティ「Jag'e'r(ジャガー、Japan Google Cloud Usergroup for Enterprise)」において、スタートアップ分科会を新設。この分科会をGoogle Cloudを利用するスタートアップ企業が集うコミュニティの場として活用してもらうという。

また、Google Cloud内のGoogle for Startupのチームと手を組み、メンターシップやアクセラレータなどの共同プログラムを開発しており、スタートアップ企業が世界進出する際の支援や、クラウド以外のGoogleの事業部門と連携した共催イベント、情報提供などを行う。