LINEみらい財団は7月14日、GIGAスクール構想のもとで児童および生徒が1人1台のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)端末を利用できるようになっている教育現場に向けて、「情報モラル」と「情報活用」の育成や向上を目的として、活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」を開発したことを発表した。

また、同財団はこの取り組みの第一弾として、神奈川県鎌倉市教育委員会と共同で小学4から6年生向けに作成した「GIGAワークブックかまくら(スタンダード版)」を公開した。

「GIGAワークブックかまくら(スタンダード版)」:児童用教材
「GIGAワークブックかまくら(スタンダード版)」:教員用 活用の手引

  • 「GIGAワークブック」を開発したという

    「GIGAワークブック」を開発したという

LINEおよびLINEみらい財団は2012年から、子どもたちのより良いコミュニケーションや健全なインターネット利用啓発のため情報モラル教育に取り組んでいる。2017年には東京都教育委員会と共同で、児童や生徒の発達段階に応じて体系的に情報モラルを学べる「SNS東京ノート」を開発したという。

その後、全国で活用できる汎用版の「SNSノート(情報モラル編)」や、長崎県や静岡市など7自治体とそれぞれ共同で各地域独自の育成目標などを取り入れた自治体版「SNSノート」を展開したとのことだ。

近年の教育現場においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオンライン授業への移行が急務となったほか、GIGAスクール構想が前倒しで進められ2021年度から児童および生徒1人1台端末での学習が本格化するなど、学校でのICT機器やインターネットの活用機会は急激に増えている。

LINEみらい財団が2021年に実施した調査の結果から、1人1台の端末が行きわたった状況下では、小学校中学校ともにネット環境でのトラブルが校内でも起きていることが明らかになった。このようなトラブルを防ぎ児童や生徒が安心してICT機器やインターネットを使って学習できるよう、同財団では情報モラル教育の提供を進めるとしている。(資料:一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査報告書)

LINEみらい財団は今回、これまで展開していたSNSノートを現在の教育現場にあわせて改訂した教材「GIGAワークブック」を塩田真吾氏(静岡大学 教育学部 准教授)と共同で開発した。この教材はSNSノートと同様に、各地域で定める情報モラル育成目標や調査データといった地域独自の要素を反映させており、自治体ごとに導入する教材として作成したとのことだ。

教材内では情報モラルと情報活用に焦点を当てており、ネット利用の特性や適切なコミュニケーション方法、情報のリスクなどを学ぶ情報モラル教育領域の内容を充実させたようだ。情報やICTをうまく活用して、情報社会に参画しながら社会に働きかけるための活用方法についても学べるとのことだ。

  • 「GIGAワークブックかまくら(スタンダード版)」の教材の例

    「GIGAワークブックかまくら(スタンダード版)」の教材の例