マネーフォワードは7月13日、オンラインで2022年11月期第2四半期の決算説明会を開いた。説明はマネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏が行った。

第2四半期の業績は好調に推移

辻氏は第二四半期を振り返り「通期見通しの達成に向けて順調に進捗しており、第2四半期の売上高実績は見通しレンジ(4月に開示した見通し)の上限を上振れした」と述べた。

  • マネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏

    マネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏

同社ではクラウド会計サービス「マネーフォワード クラウド会計」などのバックオフィスSaaS(Software as a Service)、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」といったSaaSマーケティング支援サービスのビジネスドメイン、決済サービス「マネーフォワード ケッサイ」をはじめとしたファイナンスドメイン、家計簿・資産管理のホームドメイン、Fintech推進・DX支援を柱としたXドメインの計4ドメインを展開している。

  • マネーフォワードの事業形態

    マネーフォワードの事業形態

全社における2022年11月期第2四半期の連結売上高は前年同期比27%増の50億850万円、SaaS ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は同38%増の139億7600万円となった。前年同期に大型のフロー売り上げを計上したXドメインを除く、3ドメインの連結売上高は同39%と成長を維持するとともに、ビジネスドメインにおける法人向けARRは同45%増、ファイナンスドメインの請求代行事業のストック売上は同74%と高い成長を実現したという。

  • 2022年11月期第2四半期のハイライト

    2022年11月期第2四半期のハイライト

特に、ビジネスドメインでは中堅企業向けARRの増加が前年同期比121%増と大きく成長し、法人ARRの成長をけん引。2022年上半期における中堅企業向けARRの純増額は同3.2倍、法人ARRは同1.8倍に増加している。

各ドメインの状況

ここからは各ドメインの状況をみてみよう。ビジネスドメインの売上高は前年同期比43%増の36億6100万円となり、法人向けストック売上が同44%増と全体の成長をけん引し、BOXIL SaaSを提供するスマートキャンプも同40%増と好調に推移した。

課金顧客数は前年同期28.3%増、前述の通り法人ARPA(Average Revenue per Account:課金顧客あたる売上高)は主に中堅企業ユーザーの拡大により、同15.9%増、前四半期比3.5%増と増加した。

  • ビジネスドメインの売上高推移

    ビジネスドメインの売上高推移

ファイナンスドメインの売上高は前年同期比56%増の3億900万円、請求・決済代行事業が大型案件の導入で前年同期比75%増、売掛金早期資金化事業は営業・審査体制の拡充により、フロー収入が同49%増となった。

  • ファイナンスドメインの売上高推移

    ファイナンスドメインの売上高推移

ホームドメインの売上高は前年同期比19%増の7億2200万円となり、ストック収入であるプレミアム課金が堅調に成長。家計簿・資産管理アプリの「マネーフォワード ME」の利用者数は継続的に増加し1330万を突破、課金ユーザー数は同22%増となった。

  • ホームドメインの売上高推移

    ホームドメインの売上高推移

Xドメインの売上高は前年同期比38%減の3億8700万円、ストック売上は同18%増となり、フロー売上は大型案件があったたため、同59%減となった。ストック売上は法人向けサービスがリリースされる第4四半期以降の成長加速を見込んでいる。

  • Xドメインの売上高推移

    Xドメインの売上高推移

今後の見通しとして、2022年連結売上高は前年比30~40%増の203億2000万円~218億9000万円、2022年第3四半期の売上高は前年同期比35~41%増の51億8000万円~54億1000万円、第3四半期末のSaaS ARRは同39%~43%増の146億1000万円~150億3000万円、ビジネス法人のARRは同49%以上の成長を見込んでいる。また、法人ARRの成長加速に向けて、第3四半期において18億円~20億円の広告宣伝費の投下を予定している。

  • 今後の見通し

    今後の見通し

インボイス制度への取り組み

一方、インボイス制度への対応も紹介された。辻氏は「インボイス制度の開始で請求書の発行・保存においてクラウド対応が不可欠になる。また、請求書のデジタル化が促進されることで、後続の会計システムのクラウド化ニーズも増加する」と話す。

しかし、MM総研の調査結果によると、インボイス制度の認知度は低く、中小企業では3割にとどまっており、認知している場合でもシステム面で対応済の企業は限定的となっている。そのため、制度の導入に向けてクラウドサービスの需要が喚起されることが想定されているという。

同社は、中小企業・士業事務所、中堅企業、個人事業主と、請求書の送付から申告まで、さまざまなニーズに対応するプロダクトを揃えており、利便性の高いシステムを一気通貫で提供するとしている。

そのため、4月にECサイトなどのサービスと「マネーフォワード クラウド会計」を連携することで取引明細データや電子領収書、電子請求書などの証憑データを自動で取り込むことが可能な「証憑自動取得機能」を提供開始。

また、6月には連携した仕訳データをもとに自動集計し、消費税申告書の作成が可能になるため、これまで申告の経験がなくても消費税申告ができる「消費税申告機能」をリリースしている。

  • インボイス対応に向けた新機能の概要

    インボイス対応に向けた新機能の概要

最後に、辻氏は「バックオフィスSaaS事業で昨年比39%増の203億2200万円を見込んでいる。また、グループ全体で計5兆4000億円の潜在市場で事業展開を継続することで、さらなる成長を目指す」と意気込みを語っていた。