ENECHANGE(エネチェンジ)は6月29日、EVの充電インフラ戦略に関する記者発表会を開催し、同社の新EV充電ブランド「ENECHANGE EV CHARGE」の導入支援キャンペーンとして最大300億円の投資を行うことを発表した。

  • 新ブランド「ENECHANGE EV CHARGE」紹介資料

    新ブランド「ENECHANGE EV CHARGE」紹介資料(提供:ENECHANGE)

将来需要が増すと予想されるEV充電器

世界的に利用が広がりつつあるEVは、自宅やオフィスなど出発地点での基礎充電に加え、目的地である滞在先での継ぎ足し充電や移動途中での経路充電が必要となるため、EV用充電スタンドの拡充が急務となっている。

2009年の量産EV発売以降、複数の充電サービス会社が立ち上がり、国の補助金制度も充実していたため、EV充電器の数は増加していたが、2016年度以降はほぼ頭打ちとなり、近年は初期に設置された充電器の老朽化により減少傾向にあるという。

しかし近年、カーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発化する中、国内におけるEVの新車販売比率は大幅に増加している。経済産業省が発表したグリーン成長戦略では、EVの普通充電器の設置数について2030年までに12万基を目指すとされており、それ以降も急速な需要の増加が見込まれるとのことだ。

  • EV充電器基数の展望

    EV充電器基数の展望(提供:ENECHANGE)

ENECHANGEがブランドイメージを一新

この流れを受け、2021年11月より「エネチェンジEV充電サービス」を提供してきたENECHANGEは、今般ブランドを一新。ENECHANGE EV CHARGEへのリニューアルを行った。

ENECHANGE代表取締役CEOの城口洋平氏によると、ENECHANGE EV CHARGEで使用できる日東工業製EV充電器「モデル1」の特徴として、6kWの出力と4G通信への対応が挙げられるとのことだ。

現在、目的地充電用途で稼働するEV充電器のほとんどは3kW出力だというが、同サービスの充電器は2倍の6kWで出力するとしている。EVバッテリーの大容量化が進む中、充電速度の高速化が必要とされており、充電時間短縮に向けても高出力充電器の需要は大きいという。

また、4G通信に対応しクラウドを介しての制御が可能なため、充電器の設置場所に制限がない点も強みだとしている。利用の際にはスマートフォンアプリと連携し、キャッシュレス決済で支払いが行えるなど、手軽な利用を実現したという。

  • ENECHANGE EV CHARGEの使用イメージ

    ENECHANGE EV CHARGEの使用イメージ(提供:ENECHANGE)

JARI認証を取得した補助金対象の新製品を発表

そして今回の会見では、台湾メーカーとの協業により開発されたEV充電器の新製品「モデル2」が発表された。同製品は、モデル1の特徴に加え、日本自動車研究所認証センター(JARI)の認証を取得しており、国による充電インフラ補助金の対象であるという強みがあるとのことだ。

  • モデル1とモデル2の比較画像

    モデル1とモデル2の比較画像(提供:ENECHANGE)

EV充電器導入支援に最大300億円を投資へ

城口氏は続けて、ENECHANGE EV CHARGEの導入支援キャンペーンを行うことも発表した。同キャンペーンでは、EV充電器の設置を行う際、国の補助金に加えてENECHANGE独自の導入支援金が上乗せされるとのことで、導入費用が実質無料になるとしている。

ENECHANGEはキャンペーン実施に向けすでに資金調達などを行っているといい、2027年までに3万台の設置を実現するため、補助金などと合わせて最大300億円の投資を行うとのことだ。

同キャンペーンは、日本全国の宿泊施設や商業施設などを対象としており、2022年6月30日に開始するとしている。

  • ENECHANGEが開始する導入支援キャンペーン

    ENECHANGEが開始する導入支援キャンペーン(提供:ENECHANGE)

また同社は併せて、3万台のEV充電器販売へ向けて、ENECHANGE EV CHARGEの販売パートナーを募集すると発表した。500社との提携を目指しているとのことで、募集を開始する前からすでに50社以上と提携を開始しているという。

城口氏は、「未来の話だと思われていたEV充電器の拡大だが、今回3万台という具体的な目標を掲げ、本気で目指す上での道筋を発表した。さまざまな企業と協力しながら、目標の達成へと進んでいきたい」と語った。