ミロ・ジャパンはこのほど、オンラインで記者説明会を開き、国内の事業進捗と最新の製品戦略に関する発表を行った。説明会には、米Miro Head of Marketingのポール・ダーシー氏と、ミロ・ジャパン 代表執行役社長の五十嵐光喜氏が出席した。

日本語のローカルテンプレート、日本語UIをリリース

同社では、オンラインコラボレーションホワイトボードを提供し、ブレインストーミングや新製品のデザイン、さまざまな意見を集めるワークショップ、ミーティングなどに活用されている。

冒頭、五十嵐氏は「従来、日本では全員参加型の議論が企業の強さであり、エンゲージメント力が非常に高かった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大前もそうだが、ビジネスのスピードが加速して全員参加型とならず、参加したとしても発言できないような雰囲気となっており、本来の力を発揮できていなかった。本来はアイデアをボトムアップで組み上げ、1つのものを作り出すことが強さだった。Miroは手を挙げる必要がなく、社員全員がアイデアを自由に共有するとともに発言していける環境を提供している」と述べた。

  • ミロ・ジャパン 代表執行役社長の五十嵐光喜氏

    ミロ・ジャパン 代表執行役社長の五十嵐光喜氏

現在、昨年の日本法人設立当初は数人だった従業員は今夏に50人、来年には100人を計画。ビジネスの側面では、日本語のテンプレートをユーザーコミュニティで共有する「Miroverse Japan ローカルテンプレート」をリリースし、ユーザーはグローバルで活用テンプレートに加え、日本で独自に作成されたテンプレートを自由に利用することができる。また、フリーユーザーを含めた日本語UIを正式公開しており、6月13日から選択可能となっている。

  • 「Miroverse Japan ローカルテンプレート」をリリース

    「Miroverse Japan ローカルテンプレート」をリリース

  • 日本語版UIは6月13日から利用可能となっている

    日本語版UIは6月13日から利用可能となっている

五十嵐氏は「昨年11月の発表時点におけるユーザー数は50万ユーザーだったが、今年5月末時点で70万ユーザーを突破し、日本語のテンプレートとUIのリリースで一層のユーザー拡大が期待される」と力を込めた。

実際、NECが採用しており、開発プラットフォームとして利用しており、近年のスマートワークの流れを受けて、アジャイル開発現場においてもフルリモートに対応した開発管理環境が求められることから、Miroを重要かつ自由度の高いクラウドサービスとして活用しているという。

  • NECではMiroを開発プラットフォームとして導入した

    NECではMiroを開発プラットフォームとして導入した

同氏は「開発では、外部サービスとの連携はシームレスに行う必要があるが、API機能を使い、Jiraなどとのツール間連携を実現した。結果として共同編集、直感的な操作感などアナログの良さを残しつつデジタルのメリットもあり『PJルームに集まる』というアジャイル開発の常識を変えることに成功している」と強調した。

グローバルの事業状況、Miroの優位性

ダーシー氏はグローバルにおける事業の状況について触れた。「当社は2011年に設立し、昨年11月に日本で行った説明会の際はユーザーが2500万人だったが、3500万人に達した。ユーザーコミュニティによるテンプレートは1000を超えている」と胸を張る。

  • 米Miro Head of Marketingのポール・ダーシー氏

    米Miro Head of Marketingのポール・ダーシー氏

続けて、同氏はパンデミックによる働き方の変化のすべてが変化したと指摘。リモートワーカーはベッドから職場まで数十秒で通勤し、世界的に労働時間は長くなるとともに、リモートワークは孤立感を感じるという報告もあるほか、親しい同僚とはコミュニケーションが増加している一方、それ以外の人とは減少するなど、仕事のすべてが変わったという。

また「Microsoftの調査によると。週次会議の増加率は150%、週次会議に費やす時間の増加率は250%に拡大し、大半はZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどでビデオ会議を行っている。これは多くの問題を引き起こしており、不自然なため疲労感がを感じることに加え、多数のビデオ会議は本来取り組むべき重要な作業の時間を残さない。これらの働き方は意欲を削ぎ、生産性を低下させてしまう」との認識を示す。

そして、同氏は従来のデジタルツールはハイブリッドワークの実態に即して設計されたものではなく、ビデオ会議とメッセージングツール/メール、Microsoft Officeのような生産性向上ツールのみとなっており、より高いレベルのために設計されたものではないという。

こうした状況をふまえて、ダーシー氏は「Miroはビジュアルコラボレーションを可能とし、どこにいても一緒に働けるほか、同期・非同期コラボレーションを融合してプロジェクトやチームのための共有ワークスペースを提供する。加えて、ありとあらゆる業務で活用でき、100種類を超える主要な業務アプリやサービスとの連携も可能としている」と、同社のツールのメリットを説明していた。

  • 従来のデジタルツールに対して、Miroはハイブリッドワークに適しているという

    従来のデジタルツールに対して、Miroはハイブリッドワークに適しているという