COSMOSでは、X線から可視光、赤外線、電波に及ぶ幅広い波長帯で感度の高い観測が行われており、1つの波長帯だけでは見ることができない銀河のさまざまな側面を同時に調査することが可能となっている。
NASAのチャンドラX線観測衛星と超大型干渉電波望遠鏡群の観測データが詳細に解析された結果、星形成を終えた銀河は約95~125億年前において、平均的にX線や電波を放射していることが明らかになった。なお、105億年以上前の宇宙においてこうした放射を検出したのは、今回の研究が初めてだという。
解析で得られたX線と電波は、銀河の星の量や星形成率から期待される放射よりも強いことが判明。そのことから、銀河中心にある超大質量ブラックホールの活動による放射が主であることが推測されたとする。
現在の宇宙では多くの楕円銀河が活動的な超大質量ブラックホールを持つことが知られているが、宇宙初期においても、星形成活動を終えようとしている銀河には活動的な超大質量ブラックホールが一般に存在していたことを今回の研究は示しているという。
また、星形成活動が起こっている同じ時代の銀河に比べて、これらのブラックホールの活動性が高いことも確認された。これらのことから、研究チームは、宇宙の初期において星形成活動が終わる原因が、ブラックホールの活動性と関連があるのではないかと結論付けたとする。
なお、今回の研究成果は、銀河中心の超大質量ブラックホールが銀河の成長を妨げた可能性を示唆したものとするが、一方で具体的にブラックホールがどのようにして星形成を止めたのかについては、今回の研究だけではわからないとも研究チームでは説明しており、今後、その具体的な過程を明らかにすることを目指し、調査を続けていく予定としている。