一方のヤマト運輸は、高いオペレーション品質を要求される医療機器や医薬品メーカのサプライチェーン最適化に向け、2017年に羽田クロノゲートで3Dプリンタを導入し、人工関節の手術用装具の造形や、メディカル領域における試作品などを製造、配送してきた。

そして同社は今回、歯型造形用データから3Dプリンタの造形に適したデータへ自動補正するツールを新たに開発。3Dプリンタによる製造から最終製品の仕上げ加工まで全工程の機械化により、国内初のマウスピースのオンデマンドカスタマイズ生産を実現したという。

  • 今回発表されたサービスの流れとメリット

    今回発表されたサービスの流れとメリット(出典:ヤマト運輸)

DRIPSとヤマト運輸は、今回のサービスによって国内での安定したマウスピースの製造体制を構築し、患者の治療進捗状況に沿ったサービス提供による治療期間の短縮、および治療計画の変更で生ずるマウスピースの廃棄の削減など、日本の歯科矯正に新たな価値を提供するとしている。

歯科矯正の患者に対しては、治療進捗に応じた適切なマウスピースをスピーディに受け取ることが可能になるため、多数のマウスピースの自己管理やつけ間違えなどのトラブル、マウスピースの作り直しに起因する治療期間の延長を回避でき、治療途中での断念防止につながるとしている。また個人の歯列の動きにあったマウスピースを短期間で受け取り交換できるため、矯正をより短期間で完了させることが可能になるという。

また歯科クリニックに対しても、マウスピース製造体制の強化や治療期間の短縮による患者受け入れ規模の拡大、治療計画変更時のマウスピース製造待ちに伴う治療期間の長期化や廃棄リスクの低減、国内製造による安定した品質の商品提供など、さまざまな価値を提供できるとしている。

  • 今回発表されたサービスの流れとメリット

    3Dプリンタによるマウスピース製造過程(出典:ヤマト運輸)

DRIPSは今後、提携委員数を増やして患者の受け入れ可能数を拡大し、将来的には歯科領域に限らず身体全体の予防領域へのサービスの拡大を目指すとのことだ。

そしてヤマト運輸では、全国にある同社の主要拠点に3Dプリンタを増設し、患者に近い拠点で製造することでより迅速に商品を届けるサービスを強化していくという。