矢野経済研究所は5月18日、国内のMedTech(医療×テクノロジー)動向として、診断・診療支援AI(人工知能)システムの市場予測を発表した。

MedTechとは、診療・診断・治療支援領域などの医療分野に対して、AI、IoT(モノのインターネット)、XR(VR:仮想現実、AR:拡張現実、MR:複合現実などの総称)、5G(第5世代移動通信システム)などの最新技術を取り込み、新たな価値を提供する製品やサービス、またはその取り組みのこと。

日本では、2018年以前は研究・実証研究の取り組みが中心であり、AIを搭載した医療機器として、初めて内視鏡画像診断支援AIシステムが薬事承認を取得したことを皮切りに、製品・サービスの上市が進められてきた。2022年2月時点で、放射線画像分野を中心に20品目以上の製品で薬事承認・認証を取得している。

  • 診断・診療支援AIシステム市場規模予測 出典:矢野経済研究所

    診断・診療支援AIシステム市場規模予測

一方、診断支援AIシステムおよび診療支援AIシステム市場は黎明期で、2020年の国内の診断・診療支援AIシステム市場規模は約14億円だという。現状では放射線科領域を中心にAI製品の展開がみられ、2022年度の診療報酬改定では、AI技術が画像診断管理加算3の施設要件として加えられ、臨床現場でのAIの運用・管理体制の整備が求められている。

医師のAIに対する関心は高まるなか、大・中規模病院やクリニック、健診施設などで診断支援AIシステムの導入が進みつつあり、利用から普及に向けた動きが活発化しているとのことだ。

矢野経済研究所は、このように将来的なAI搭載型の医療機器製品数の増加とともに、AIアプリケーションの多様化を見込む。AIなどを搭載した診断支援システムおよび診療支援システムは医療機関での利用が浸透していき、2026年の診断・診療支援AIシステム市場規模は、事業者売上高ベースで160億円に拡大すると予測している。