具体的には、二元機能触媒としてナトリウム種をアルミナ担体(γ-Al2O3)に分散させたNa/Al2O3を調製。ナトリウム種の前駆体には炭酸ナトリウム(Na2CO3)が用いられたという。この二元機能触媒は遷移金属を用いていないため、触媒の原料費の低減や製造工程の簡素化とそれによる低コスト化が期待できるとされる。

実験では、この触媒60gを固定層反応器に充填させ、500℃でCO2の吸収と変換挙動が調べられた。CO2を窒素(N2)で希釈し、大気中濃度を摸擬した400ppmの混合ガスが反応器に供給されたところ、触媒上に存在するナトリウム種の炭酸化反応によりCO2が吸収されるため、実験開始から約4時間まではCO2はほとんど流出しなかったほか、水素ガスの供給により、COが速やかに放出されることも確認された。これは、触媒に吸収されたCO2と水素により逆シフト反応が進行したと考えられ、CO濃度の瞬間値は20%超、CO2供給濃度の500倍以上に達することが確認されたという。

  • 二元機能触媒を用いた二酸化炭素 吸収・変換実験の概要

    Na/Al2O3二元機能触媒を用いたCO2吸収・変換実験の概要 (出所:産総研Webサイト)

また、吸収CO2のCOへの変換反応を利用して、合成ガス製造の可能性検討も実施。合成ガスの利用にはCOの濃度だけでなく、未反応の水素とのモル比(H2/CO比)の制御が重要であることから、組成分析を実施。COと水素の濃度はそれぞれ14.5%、48.1%であったほか、H2/CO比は3.3であることが確認されたという。さらに、副生するメタンや未反応のまま流出するCO2はごくわずかであることも確認。残りの約3割はCO2の希釈や押し出しに用いた窒素ガスが主で、目的外の成分が生成されたわけではないという。

  • 捕集した出口ガスの組成の割合

    (上)捕集した出口ガスの組成の割合。(下)今回の結果と、これまでに行われた二元機能触媒を用いてCO2吸収・変換実験を行った研究結果との比較 (出所:産総研Webサイト)

これらの結果は、COの生成量と未反応の水素量を適切に制御することにより、望ましいH2/CO比の合成ガスを製造できる可能性を示すものであり、今後の研究において、反応器の形式や水素流量などの反応条件を工夫することで、目的のH2/CO比の合成ガスを連続的に製造できる可能性が示されたと研究チームでは説明してる。

また、CO2吸収・変換実験の結果、触媒に吸収されたCO2がどれだけほかの物質に変換されたかを表すCO2転化率は90%、生成物のうちどれだけCOが得られたかを表すCO選択率は97%と算出されたともしている。

このほか、二元機能触媒の耐久性確認のために、450℃でCO2吸収(濃度5%)とCOへの変換が交互に繰り返し行われたところ、50サイクル後でもCO2吸収量およびCO生成量のどちらも安定しており、高い耐久性と長期間の繰り返し利用の可能性が高いことも確認されたともしている。

  • 繰り返し実験での二酸化炭素吸収量

    繰り返し実験でのCO2吸収量と一酸化炭素生成量の推移 (出所:産総研Webサイト)

なお、研究チームではこれらの成果を踏まえ、今後は詳細な反応機構解析を行い、その結果に基づいて二元機能触媒のCO2吸収量やCO生成速度のさらなる向上を目指すとするほか、反応条件の制御によって、目的のH2/CO比の合成ガスを定常的に製造できる実用的な連続反応プロセスの開発にも取り組むとしている。