三菱重工グループの三菱重工エンジニアリングは5月11日、同社の世界トップシェアのCO2回収技術をグローバル展開を加速するため、カナダ西部のアルバータ州カルガリーに脱炭素事業の営業拠点「Mitsubishi Heavy Industries Engineering(Calgary Branch Office)」を設立したと発表した。

環境保全に積極的な取り組みを進めるカナダは、CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の有望市場。同国では2019年に連邦炭素税が導入され、2030年までに段階的に税額を増やしていく予定であり、各州においても脱炭素関連プロジェクト向けの補助金制度が導入されている。

また、輸送や貯留といったCCUSを成立させるための各種インフラも整備されつつあり、アルバータ州、サスカチュワン州をはじめとした各州で、数多くのプロジェクトについて具体的な検討が進められているという。

今回の営業拠点設立により、こうしたカナダ市場の動向や顧客ニーズへの迅速な対応が可能だとしている。

同社は、脱炭素事業において、北米統括拠点のMHIA(米国三菱重工業)ヒューストンにあるエンジニアリング事業部「ESD(Engineered Systems Department)」に加え、2021年7月に設置したMHI-EMEA(欧州・中東・アフリカ三菱重工業)ロンドン本社の脱炭素事業拠点「DBD(Decarbonization Business Department)」があり、CCUS導入に先進的な地域への営業体制を強化を進めている。

  • 同社が開発している小型CO2回収装置

    同社が開発している小型CO2回収装置(出典:三菱重工)