大阪大学(阪大)と大阪公立大学(公大)は5月6日、液体ヘリウム4を2.1K以下に冷やすことで現れる量子力学的効果が顕著な流体「超流動ヘリウム」中の量子渦を、半導体シリコンナノ粒子を用いて可視化することに成功したと発表した。

同成果は、阪大大学院 基礎工学研究科の蓑輪陽介助教、同・青柳翔太大学院生、同・芦田昌明教授、大阪公立大大学院 理学研究科・南部陽一郎物理学研究所の坪田誠教授、同・大学院 理学研究科の乾聡介大学院生らの共同研究チームによるもの。詳細は、米科学誌「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。

風や川など、自然界に存在しているさまざまな流れの多くは「乱流」であることがわかっている。乱流は多数の渦が絡み合った状態と考えることもできるが、通常の流体中では渦の厳密な定義は難しく、取り扱いが複雑なことが研究の妨げとなっていた。

そうした中、近年になってその乱流現象にまったく別の角度から迫りうる研究対象として注目されているのが量子渦だという。その量子的な性質のために明確な定義が可能であり、安定した構造として実験科学とも相性が良いとされているが、超流動ヘリウム中の量子渦は非常に細く、0.1nmほどのため、そのままでは観測できないという点が課題となっていた。