英Armは4月26日、同社のArm Total Solutionsの拡大と「Cortex-M85」プロセッサと「Corstone-310/1000」、さらに「Arm Virtual Hardware」の強化を発表した。これらについて、オンラインで説明会が行われたので、順に説明していきたい。

まずArm Total Solutionsについて。Arm Total SolutionsはVirtual Hardware TargetやProject Centauriと併せて2021年10月に発表された。要するにユースケースに向けて最適化したIP Solutionを提供するというものだ。昨年10月に発表された時には、まずKeyword Recognitionを目的としたCorstone-300がリリースされたが、今回はCloud Native Edge Device向けのCorstone-1000、それとVoice Recognition向けのCorstone-310となる(Photo01)。

  • Corstone-310

    Photo01:Corstone-310、昨年のロードマップではPolarisと呼ばれていたもので、MPUの方はOlymposとなっており、これがCortex-M85である。ところで同じ時期に低コストのKeyword Recognition向けのCorstone-200が出る予定だったはずだが、どうなったのだろう?

ちなみにCorstone-1000は昨年のロードマップではCortex-A53と組み合わせる予定になっていたが、今回はCortex-A32との組み合わせである。これについては、そもそもCorstone-1000はCortex-A32/A35/A53を選べるとの事で、例えば本日発表のものもCortex-A53に置き換える事が可能という話だった。またCortex-A32はともかくCortex-A53は64bit Addressingであるが、組み合わせるCortex-Mの方は引き続き32bitのまま、という話であった。

今後はこのPhoto01にあるように、VisionとかObject Recognition、Smart Sensor Fusionなどに向けたCorstoneが投入されることになる。ちなみにCorstoneは単にIPだけでなく、この上で動くSoftware stackも含めての形である。だから、本日発表されたCorstone-1000と、将来投入予定のVision向けCorstone-1000は、IPは同じでもSoftwareが異なる事になる。

そのCorstone-310であるが、こちらは“Total Solution for Voice Recognition”として提供され、Smart Speakerやサーモスタット、ドローン、工場用ロボットなどのユースケースに向けたもので、ベースとなるのは後で説明するCortex-M85である(Photo02)。

  • NPUはオプション扱い

    Photo02:後で説明する様にCortex-M85はHeliumベースでAI処理性能も大幅に上がっているので、必ずしもNPUを組み合わせなくてもそれなりに処理できるケースが多い、ということでNPUはオプション扱いになっている模様

一方Corstone-1000であるが、こちらは“Total Solution for Cloud Native Edge Devices”に向けたもので、Linuxベースの環境の上で、Smart CameraやPOS Device、IoT Gateway、自動販売機といったものに向けたものとなる(Photo03)。Linuxが動くということで、SystemReady-IRやProject Cassiniの対象になっているというのも興味深い。

  • Secure EnclaveはCortex-M0ベースのIPの形で提供される

    Photo03:POSとかであればCortex-Mは不要かもしれない。ちなみにSecure EnclaveはCortex-M0ベースのIPの形で提供されるとの事