前述したように、ニューリジェンセキュリティはラックとNRIが資本業務提携契約に基づき、クラウドプラットフォーム向けマネージドセキュリティサービスを提供する企業として出資比率50対50で設立した。両社で専門的な知識を身に付けたエキスパートがノウハウを相互に共有しており、迅速なサービス開発を特徴とする。

フランス語で雲を意味する「nuage」と「intelligence」に由来する社名は、クラウドセキュリティ分野において専門的なintelligenceを提供するという、同社の意思を表している。

  • ニューリジェンセキュリティの主要事業

近年は業務の効率化やビジネスモデルの変革を目的として、クラウドサービスの活用が加速している。価値のあるデータがクラウド環境に増加する中で、攻撃される可能性がある場所、いわゆるアタックサーフェスも広がる一方だ。また、容易にクラウドサービスを利用できるようになったために、設定ミスや設定不備などを突く攻撃も増えている。

  • サイバー攻撃のアタックサーフェスは拡大している

こうした状況を踏まえてラックとNRIの2社は、攻撃を前提とした検知と対応に加え、攻撃の予防や被害を最小限に抑えるための未然の予防が重要だとして、クラウドセキュリティサービスを提供する新会社の設立に至ったとのことだ。

同社はクラウドネイティブの有効利用のほか、クラウドセキュリティの専門家が持つ知見を生かして運用の負担を軽減するようなサービスを展開する。また、最新のサイバーセキュリティ情報を常に反映させる。

大野社長は同社のフラットな社内風土とアジャイル開発のスピード感を「異次元の爆速」と評した。今後はパートナー企業とのエコシステムを拡大し、2024年度までに10憶円の売り上げを目指すとのことだ。

  • ニューリジェンセキュリティは意思決定の速さを特徴とする

ラックの代表取締役社長である西本逸郎氏は会見の中で「大手のクラウドプラットフォーマーの売上額を足し合わせると140兆円を超え、韓国のGDPにも匹敵する時代となった。企業が日進月歩で進化するクラウドサービスの機能に追いつくだけで精一杯になり、セキュリティまで手が回らないといった事態を回避するためにも、ニューリジェンセキュリティのサービスには期待している」とコメントした。

  • ラック 代表取締役社長 西本逸郎氏

また、NRIの専務執行役員である竹本具城氏は「クラウド空間における企業の活動範囲が広がる一方で、ランサムウェアに代表されるサイバーリスクも高まっている。セキュリティの強化が必須な現代において、AIや機械学習を活用して顧客企業が求める高レベルなセキュリティを実現していく」と力強く語った。

  • NRI 専務執行役員 竹本具城氏

さらに、NRIセキュアテクノロジーズの代表取締役社長を務める柿木彰氏は「サイバー攻撃によって取引先企業が攻撃されたことで、サプライチェーン全体が停止する事案も発生している。ニューリジェンセキュリティではクラウド時代に適した価格帯で簡単に導入できるサービスを提供し、セキュリティコストの大半を占める人的コスト削減に寄与したい」と話していた。

  • NRIセキュアテクノロジーズ 代表取締役社長 柿木彰氏