古河電気工業(古河電工)は4月20日から22日まで東京ビッグサイトで開催中の「Medtec Japan 2022」で、医療用レーザ光源と医療用ファイバ・光部品の技術を紹介しているほか、医療機器向け位置検知ソリューション「Tellumino(テルミノ)」の展示を行っている。

非鉄金属メーカーの古河電工は、以前より事業展開を進める光ファイバ・光半導体事業で得たノウハウを活かし、光技術(フォトニクス技術)を利用した医療分野での部材開発やソリューション提供を進めているという。

  • Medtec Japan 2022の古河電工ブースの様子

    Medtec Japan 2022の古河電工ブースの様子

体内医療機器の位置を目視で検出できる「Tellumino」を展示

古河電工が展示を行うブースでは、身体に触れずに体内医療機器の位置を検出できる技術「Tellumino」が展示されている。

皮下に本体を埋め込みカテーテルを通して薬剤を注入する皮下埋め込み型ポート(CVポート)は、埋め込まれた本体の中心部分にあるシリコンゴム部分(セプタム)に専用の針を刺し込み薬剤を投与する医療器具だが、基本的に触診によってセプタムの位置を検出しており、施術者の訓練や技能が必要になるため相応の訓練と技量が必要とされ、また患者の不安も課題であった。

古河電工ではこれらの課題に対し、CVポートを光らせることで位置を把握できるシステムを考案。しかし電池を内蔵した機器では一定期間で電源を交換する必要があるため実用化は難しく、外部から給電し光を発生させる方法を模索していたという。

Telluminoは、CVポートにセプタムを囲む形でLED光源を内蔵し、体外から給電用コイルを近づけることで体内のLEDを光らせ、視覚で位置を検出することが可能となる。X線や造影剤などの特殊な機器や薬剤を用いることなく肉眼で機器の位置が見えることで、医療従事者や在宅医療の患者などが短時間でより確実にCVポートへの穿刺(せんし:針を刺すこと)を行うことができ、患者の精神的・肉体的負担の軽減に貢献するとしている。

  • 3点にLED光源を内蔵したリングは給電コイルをかざすと発光する

    3点にLED光源を内蔵したリングは給電コイルをかざすと発光する

  • 機器が埋め込まれている箇所の発光が目視でも確認できる

    機器が埋め込まれている箇所の発光が目視でも確認できる

大学病院と連携した生体実験では、生体構造が人間に近いブタを検体とし、皮下約7mmの深さでも外部から光を観察することができたとのことだ。人間における医療行為では平均的に2mm~3mmの深さに機器を埋め込むことが想定されるため、人体での実証でも問題なく使用できる見通しで、今後は実用化へ向け実証を重ねていく予定だという。

給電コイルをかざすと埋め込み機器のLEDライトが赤く点灯する