アステリア、サイボウズ、ZVC Japan(Zoom)、レノボ・ジャパン(レノボ)は、4社合同で実施した「未来の働き方」に関する調査の結果を発表した。全国の20~60代のフルタイムで働く就業者2,000名を対象に実施された同調査から、初の緊急事態宣言発令から2年が経ったテレワークの現状が明らかになった。

企業規模でテレワーク実施率が異なる

まず、テレワークの実施状況を聞いた。新型コロナ流行前は、テレワーク実施率(月平均で2回以上テレワーク)は7.1%であったのに対し、2020~2021年の新型コロナ禍の緊急事態宣言中には29.5%と上昇。2022年現在では緊急事態宣言中に比べると、やや減少傾向が見られるものの、全国の就業者の約4分の1がテレワークで働いていることが分かった。

  • 出典:4社(アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパン)合同調査レポート

一方で、8.9%の人が「テレワークできる職種だが、テレワークは導入されていない」と回答。その理由は、「職場以外だと部屋・机・椅子など物理的環境が整っていないから」、「社内・社外関係テレワークを利用者とコミュニケーションがとりにくいから」と、ハード面とソフト面の2軸において課題があることが分かった。

  • 出典:4社(アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパン)合同調査レポート

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企業規模別にみてみると、従業員数300名未満の企業(17.5%)、300~2,999名の企業(29.1%)、3,000名以上の企業(44.2%)と、企業規模が大きくなるにつれて、テレワークが実施されている現状が明らかになった。

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進むオフィス回帰

テレワークの普及に合わせて「オフィスの存在価値」についても、この2年間で見直された。完全なテレワークを推奨し、オフィスを無くす企業がいる一方で、テレワークに課題を感じ、オフィス回帰を進める企業も存在する。

同調査では、調査対象となる会社員・団体職員1,435名に対し、テレワークも選択できる働き方ができる場合の「働く場所」について尋ねた。すると約6割が「今後もオフィスはあった方が良い」と回答した。年代別にみてみると、「今後もオフィスはあった方が良い」と回答した20代が55.9%なのに対し、60代は69.6%と、13.7ポイントの差が見られた

  • 出典:4社(アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパン)合同調査レポート

その理由として、「業務に使用する機器がある」、「資料やデータを保管する」などが上位にあがっており、自宅や外部にはない事務効率を高めるためのシステムや機能がオフィスの存在価値を維持していることが分かった。

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一方で、テレワークによって業務成果への悪影響があると回答した529名に「仕事の成果が悪くなる理由」を聞いたところ、「社内関係者とコミュニケーションがとりにくい」(30.4%)が、最多回答としてあげられた。

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また、理想のオフィスの条件については、「無料の社内食堂・カフェがある」が40.2%と一番多く、「心身共に癒される空間がある」(29.3%)、「業務に集中できる小会議室がある」(18.7%)と続いた。

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働く場所を選ばない職種・働き方になったら

次に、「テレワークで働くか・出社して働くか、あなた自身で決めることができるか」と質問したところ、管理職・経営者・役員の75.5%が「自分で決めることができる」と回答した一方で、一般社員では47.7%という結果が出ており、役職によって27.8ポイントも差があることが判明した。

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また同調査ではこのような質問をしたーー「働く場所を選ばない職種・働き方になったら、どのようなことをしたいか」

すると、「住まいを変えたい」(23.6%)、「ワーケーションがしたい」(21.8%)、「移住(海外移住、地方移住、Uターン)をしたい」(21.7%)、「多拠点居住・二拠点生活がしたい」(20.5%)と、現在の生活から大きくライフスタイルを変化させたいと思っている人が約5人に1人以上がいることが分かった。

年代別でみてみると、住み替えやワーケーション、移住、多拠点居住のすべての項目においても、20代が6.9ポイントほど、平均より高く、若い人ほど、働き方の変化を望んでいることが明らかになった。

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人気のワーケーション先、第1位は?

次に「今後出社がなく全てテレワークで働くことになり、住むところを自由に選べるとしたら、どこで暮らしたいか」と質問したところ、第1位は「東京都」(27.3%)、次いで「神奈川県」(19.1%)、「北海道」(16.6%)という結果になった。交通の便の良さや、買い物の場所に困らないこと、いざとなったら職場に通える距離にあるといったことから東京都と神奈川県が人気だ。

  • 出典:4社(アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパン)合同調査レポート

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人気なワーケーション先になると順位は変わる。「自由にワーケーション先を選べるとしたら、どこに行きたいか」という質問に対しては、「北海道」(27.0%)と「沖縄県」(23.1%)を上げる人が多かった。3位は「東京都」(15.6%)だったが、「ワークスペースやネット環境が整ってそう」、「自分の家から行きやすい」など、都心ならではの魅力に惹かれる人もいることが分かった。

  • 出典:4社(アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパン)合同調査レポート

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新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発出を契機に、各社が働き方改革を推進したことによって、この2年間で人々の働き方は大きく変化した。それに伴って、人々の働き方や働く意識は多様化し、現在ではテレワークだけではなく、ワーケーションや移住なども、徐々に選択肢の一つとなりつつあることが分かった。

一方で、テレワーク実施の有無で「テレワークリテラシー」の二極化が進んでいることや、オフィスや日本の企業文化の改革の必要性など、時代に合ったより働きやすい環境にするためには、まだまだ課題があるだろう。