シーメンスヘルスケアは、フォトンカウンティング検出器を搭載した次世代CTとして2022年1月26日に製造販売認証された「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」の国内初号機が東海大学医学部付属病院に導入されることを3月29日に発表した。
最近では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による肺炎の診断などにも活用されているCT(Computed Tomography)検査。
日本国内では、1万3000台以上のCTが導入されており、そのほとんどが、1997年ごろに開発された固体シンチレーション検出器を用いたCTだという。固体シンチレーション検出器を用いたCTでは、高分解能を得るためには高線量の撮影が必要となるなど技術的な課題があったという。
そこで、注目されているのが「フォトカウンティング検出器」だ。固体シンチレーション検出器のようにX線光子を可視光に変換するのではなく、各X線光子とそのエネルギーレベルを直接検出するため、より少ない放射線量で高分解能な画像を得ることができるという。
シーメンスヘルスケアでは15年以上前からフォトカウンティング検出器を用いたCTの開発を進めており、2011年にCdTe(カドミウムテルライド)系半導体放射線検出素子の開発、製造、販売を行っているアクロラド(沖縄県うるま市)を買収し、アクロラドとともにフォトカウンティング検出器の開発を行ってきた。
NAEOTOM Alphaには、アクロラドと共同開発したフォトカウンティング検出器が搭載されており、高分解能、高画質、低線量撮影、スペクトラルイメージングを可能としているという。
今回、国内初号機の導入を決めた東海大学医学部長の森正樹氏は「NAEOTOM Alphaに対する期待は非常に大きい。たとえば、すい臓がんは予後が悪いことで知られており、1cmの時点で発見してもすでに進行している。それが、NAEOTOM Alphaを使うことで5mmで検出できるのか、3mmで検出できるのかを追求していきたい」と期待を寄せた。