プロセスマイニング・ベンダーのCelonisは3月23日、2022年国内ビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。冒頭、代表取締役社長の村瀬将思氏は以下のように語った。
「われわれは日本をデータで元気にしたいと思っている。日本の労働生産性は3年連続で下降しており、ここを何とかしたい。生産性を上げるためにデジタルは欠かせない。日本の現状としてDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだといわれているが、デジタライゼーションの進化にとどまっており、トランスフォーメーションにまではいきついていない」
目に見えない非効率性可視化し、パフォーマンスの低下を防ぐ
Celonisのビジネス戦略を紹介する前に、同社が提供する世界観やソリューションを紹介しておきたい。村瀬氏は、同社が「人々と社会のパフォーマンスを無限大に解放したい」と考えており、そのために、「顧客企業の見えない非効率性を明らかにし、解決を支援する」と説明した。それを具現化するのが、同社が提供するプロセスマイニングとData Executionとなる。
現在、企業はポストコロナに向けた取り組んでいるが、レガシーなシステムや文化的な要因から、変革は困難なものになっているという。あわせて、業務アプリケーションのユーザーインタフェースはデジタルでクールに変わったが、それゆえ、業務の非効率性が見えにくくなっているとのことだ。
村瀬氏は、「目に見えない非効率性こそ、パフォーマンス低下のサイレントキラー」と指摘した。エンド・ツー・エンドで業務実行状況を可視化することは困難だが、Celonisのプロセスマイニングはイベントログを業務システムから抽出し、業務プロセスを可視化する。
例えば、受注管理において、在庫管理が適正に行われていないために在庫切れが起きたら、注文キャンセルが発生し、業績の低下につながる。「見えない非効率性はビジネスパフォーマンスや離職率の低下を招き、ビジネスチャンスの喪失につながる。だからこそ、われわれは業務の自動実行のプラットフォームになる」と、村瀬氏は語った。
セロニスは、業務プロセスの可視化・自動化を行うクラウドプラットフォームとして、「Execution Management System」を提供している。同プラットフォームは、コネクタを使って各種システムからログファイルをリアルタイムで収集する。これにより、業務プロセスを可視化し、、ボトルネックを見つけて、課題を見つける一手を打つ。コネクタは100以上用意されており、 カスタマイズは不要だという。
2022年は通信・IT、製造、金融業に注力
村瀬氏は、2022年度のCelonis Japanの戦略におけるミッションは、「プロセスマイニングとData Executionを通じて、人々と社会のパフォーマンスを無限大に開放し、日本企業の競争力強化と持続可能な社会形成に貢献」と紹介した。「2022年を『日本のData Execution元年』にする。人々が人にしかできない仕事にシフトできるよう支援する。人々の働き方、生き方を変え、人生の価値の最大化を図る」(村瀬氏)
このミッションを達成するため、業種としては、通信・IT、製造、金融業に注力する。同社の製品を販売する立場でもあるIT企業に同社の製品を使ってCoEを構築してもらうことで、そのノウハウを製造業と金融業に広げていくことを狙っている。
そして、IT・カスタマーサービスの改善、CRM改善、SCM領域、レガシーシステムと連携することで、システム変革を目指す。
また、外資系ベンダーが日本で成長する上で欠かせないのがパートナーの存在だ。同社は「グローバルアライアンスTitanium/Platinumパートナー」「グローバルアライアンスパートナー」「国内リセールデリバリパートナー」「国内デリバリパートナー」という4種類のアライアンスを持っている。今回、リセール&デリバリパートナーにNTTデータが、また、デリバリパートナーにシステムサポートが参画したという。
現在、パートナー企業におけるCelonis コンサルタントの有資格数は400 名だが、FY23 末までに1,000 名の達成を目指す。
さらに、村瀬氏は同社の製品が業務の効率化のみならず、社会全体の効率性につながり、ESGに貢献できることをアピールした。その例として、プロセス最適化による食品ロスの防止があるという。「CO2排出のCO2排出の3つ目の理由が食品ロスであり、食品ロスの原因の一つが調達のプロセス。つまり、プロセスを効率化できれば、食品ロスを防ぐことができる」と村瀬氏。FY23下期に、ESG戦略に関するハッカソンを計画しているという。