日本科学未来館では、3月18日から8月31日にかけて特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」を開催している。

国内展覧会史上最大規模となる約90種130点のロボットを展示し、ロボットの歴史を振り返りつつ、現在活躍する産業用ロボットや、ヒト型ロボット、パートナーロボットといった多彩なロボットや人工知能やデジタルクローンといった技術までを多彩に紹介している。

日本科学未来館 特別展 展示ディレクターの三池望氏は「ロボットなどの科学技術を通じて、人間とはなにかを考えるような展示会になっている。ロボットと人間はどのような未来を気づいていけるのか。見学後はロボットと人間の境界があいまいになっていることを感じていただけたら」と見どころについて語ってくれた。

Zone1 ロボットって、なんだ?

展示ではZone1からZone3にかけてロボットの過去、現在、未来とつながるようになっており、最初のZone1では、ロボットの誕生から現在までにどのように発展してきたのかを壁1面の年表とともに、各時代を代表するロボットの実機を見ながら振り返ることができる。

  • AIBO

    1999年にソニーによって開発された「AIBO」

  • テムザック

    同じく1999年にテムザックによって開発された「テムザックⅣ号機」。遠くに住む家族の世話ができるようなロボットをコンセプトに開発された

  • Posy

    2001年にフラワー・ロボティクスによって開発された「Posy」。外見の美しさと動作のしなやかさを追求して開発された

  • Pepper

    2014年にソフトバンクロボティクスによって開発された「Pepper」。来場者にPepperに関する豆知識を教えてくれていた

  • 指紋

    Peppperには指紋があるということを筆者に教えてくれた

ロボットたちがどのようなコンセプトで開発されたのかとともに、ロボット開発の歴史を振り返ることができる。こちらのゾーンでは、ロボットという言葉が初めて使われたカレル・チャペックの作品など、ロボット開発のインスピレーションの源となったSF作品なども紹介されている。

Zone2 きみって、なんだ? にんげんって、なんだ?

Zone2では「からだ」、「こころ」、「いのち」に関わるロボットを紹介している。

Zone2-1:からだって、なんだ?

Zone2-1では、現在、身体拡張といった人間の行動の可能性を広げるロボットや技術が生み出されてきている。そういった人間の“からだ”に関わるロボットの紹介を行っており、実際に体験できるロボットも展示されている。

  • EVAL-03

    ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発する「EVAL-03」(試作機)。目の前の人と同じ動きをするミラーリング機能を搭載している。将来的にはゲームなどにこの技術を活かしていきたいとのことだ

  • 零式人機

    人機一体が開発する「零式人機ver.1.2」。操作者の思い通りに直感的に高所作業を行える汎用人型重機。鉄道インフラメンテナンスへの社会実装を進めている

  • オンテナ

    富士通が開発する「Ontenna(オンテナ)」。音を体で感じる装置。ろう学校などで導入されている

  • アーク

    慶應義塾大学が開発する「Arque(アーク)」。人間のバランス能力を高めるために開発され、体が傾くとバランスを保つようにしっぽが動く

Zone2-2:こころって、なんだ?

Zone2-2では、人に寄り添うロボットや、おしゃべりをするロボット、アンドロイドなど人間の“こころ”に寄り添う多様なロボットを紹介している。

  • チャーリー

    ヤマハが開発を行う「Charlie(チャーリー)」。言葉をメロディにのせて人とコミュニケーションをとるロボット

  • ルーモス

    豊橋技術科学大学が研究を進める「弱いロボット」の1つ「ルーモス」。目の前の人を追いかけて照らしてくれるがぎこちない動きで安心感をもたらしてくれるという

  • アンドロイド同士の議論

    アンドロイド「ジェミノイドHI-2」と「HI-4」の議論。大阪大学大学院基礎工学研究科石黒研究室、国際電気通信基礎技術研究所石黒浩特別研究所、NTT 人間情報研究所が開発を行っている。大規模議論データを活用し、さまざまなテーマの議論を行う

Zone2-3:いのちって、なんだ?

Zone2-3では、人間の「いのち」の在り方や、価値観に関わるようなロボットを紹介している。

少し前に話題になった有名人をデジタルクローンでよみがえらせるという試みでは、「また会えて嬉しい」といったポジティブな意見から「本人のプライバシーを侵害している」などの意見も見られた。

この展示では、人間の命を助けるために開発されたロボットや、命をよみがえらせるようなデジタルクローンといった技術の紹介を通じ、ロボットとの未来を考えさせられるような展示となっている。

  • ペディアロイド

    テムザックが開発する「Pedia_Roid(ペディアロイド)」。救命救急のトレーニング用に開発された。治療を嫌がるような動きや病状の急変などが再現できる

  • 漱石アンドロイド

    二松学舎大学大学院文学研究科と大阪大学大学院基礎工学研究科が開発した「漱石アンドロイド」

  • 問いかけを通じて考えさせられる

    このような問いかけを通じて、ロボットと人間の未来について考えさせられる

Zone3 きみとロボットの未来って、なんだ?

Zone3はこれまでのロボットの紹介を通じ、それらとどのような未来を築いていくのか、さまざまな分野で活躍する著名人が思い描くビジョンの紹介や、体験型のインスタレーションを通じて、ロボットと人間の未来を想像するゾーンとなっている。

ロボットの紹介だけにとどまらず、これからの人間とロボットの関係を考えさせられるような仕掛けが満載の同展示会。ロボットの過去、現在、未来を知ることで、改めて「人間とはなにか」を考えるきっかけになるのではないだろうか。

【開催概要】

・ 会期:2022年3月18日(金)~8月31日(水)10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
・ 休館日:火曜日 (ただし、3/22~4/5, 5/3, 7/26~8/30は開館)
・ 料金:大人(19歳以上)2,100円(1,900円)、中人(小学生~18歳)1,400円(1,200円)、 小人(3歳~小学生未満)900円(700円)
※会場の混雑状況により入場整理券の配布、または入場を規制する場合がある
※カッコ内は8名以上の団体料金
※常設展も観覧可能
※ドームシアターは別料金(要予約)
※2歳以下は無料
※障害者手帳をお持ちの方および付き添いの方1名まで無料
※会期等は変更になる場合がある
※詳細は特設サイトにて公開