東京商工リサーチは3月3日、上場メーカー「国内の工場・製造拠点」閉鎖・縮小調査の結果を発表した。同社によると、上場する製造業約1500社のうち、2021年に国内の工場や製造拠点の閉鎖や縮小を開示したのは40社で、コロナ前の2019年(17社)の2倍以上(135.2%増)となったという。

その背景としては、人口減少に加え、産業構造や消費者動向などの需給変化や、事業再編を目的とした拠点集約が進んでいることが挙げられている。特に、化学メーカーやガラスメーカーなど、素材関連の生産拠点の見直しが件数を押し上げた。

2022年はこの流れが一段と加速しており、2月25日までに5社(8拠点)の閉鎖・縮小が判明している。例えば、石油製品のENEOSホールディングス(東証1部)が和歌山製油所(和歌山県和歌山市)の操業を停止、ストッキング・タイツ等下着製造のアツギ(東証1部)が子会社のアツギ東北(青森県)の製造拠点2カ所(青森県むつ市、岩手県盛岡市)の2022年中の閉鎖を発表。雇用の受け皿であり、地域経済の有力拠点である工場・製造拠点の閉鎖が相次いでいるようだ。

業種別でみると、2019年、2020年の2年連続で電気機器が最多だった。また、機械、金属関連、精密機器などが上位を占めた。

一方2021年は、化学、ガラス・土石と素材関連が上位を占めた。また、航空機や造船などの輸送用機器でも需要低迷から4社が拠点の閉鎖・縮小を開示した。

消費者に近い食料品も4社が拠点集約を目的に閉鎖・縮小を発表した。例えば日本たばこ産業は、子会社のテーブルマークで香川県内の3工場の閉鎖を決めた。2022年も飲料大手のアサヒグループホールディングス(東証1部)を含む2社がすでに拠点閉鎖を開示している。今後も、食料品関連では拠点集約、事業再編が続くと同社は見ている。

  • 2021年・2022年 上場企業 国内工場・製造拠点の閉鎖・縮小(抜粋) 資料:東京商工リサーチ