ヴイエムウェアは2月28日、スペイン・バルセロナで開催されているモバイル関連のカンファレンス「Mobile World Congress 2022」で発表した内容に関する説明会を開催した。説明は、VMware テレコム・ソリューション担当マーケティング・バイスプレジデント スティーブン・スぺレイシー氏が行った。

  • VMware テレコム・ソリューション担当マーケティング・バイスプレジデント スティーブン・スぺレイシー氏

スぺレイシー氏は、通信事業者向けのビジネスについて、「マルチクラウドエッジによって、インフラをバーティカルにサポートしており、プラットフォームを用意している。通信事業者がネットワークをモダナイズし、マネタイズできる仕組みを提供しており、これらを利用することで、ユーザーあたりの売り上げを上げていくことができる」と説明した。

VMwareは、VMware Edgeというブランドの下、「エッジネイティブアプリケーション」「オーバーレイエッジサービス」「アンダーレイエッジサービス」という3つのレイヤーをマルチクラウドエッジと定義して、エッジ向けのソリューションを提供している。

  • VMware Edgeのビジョン

具体的には、VMware Edgeでは「VMware Edge Compute」「VMware SASE」「VMware Telco Cloud Platform」といったソリューションを提供している。

  • VMware Edgeの下、提供されているソリューション群

VMwareはパートナー企業と連携して、Telco Cloud Platform上でサードパーティ製ソリューションのテストおよび検証作業を効率化している。今回、DellおよびOracleと共同で、業界標準のインフラ上に堅牢かつスケーラブルな5Gコアを構築するために、ブループリントを提供する検証済みソリューションを開発した。

このソリューションによりネットワークの設計、テスト、複数のパートナーが提供するコンポーネントの統合に要する時間を短縮することで、短期間でネットワークを展開することが可能になるという。

また現在、多くのサービスプロバイダーがRANのモダナイゼーションを進めているが、スぺレイシー氏はRANについて、「今後、もっとオープンになると考えられる。そうした中では、インテリジェンスをRANにもたらすことが重要となる。RANにインサイトを見出し、テレメトリデータを活用して、新たな意味のある形でマネタイズできるようになる」と語った。

今回、RANに関する取り組みとして、世界中のサービスプロバイダーに統合ソリューションを提供するため、2008年からVMwareのパートナーであるHCLと協力関係の拡大が発表された。HCLはVMwareのテクノロジを活用したCloud Smartのサービスポートフォリオを拡大し、VMware Telco Cloud - 5G CoreとVMware Telco Cloud RANのサポートを開始する。

加えて、RANインテリジェントコントローラ「VMware RIC」の一般提供が開始された。O-RANアーキテクチャでは、RANインテリジェント コントローラ(RIC)が、自動化、ネットワークの最適化、サービスのカスタマイズなどの新機能を実現するアプリケーションをホストする。

VodafoneはPoCとして、Cohere Technologiesの「Spectrum Multiplier」をCapgeminiの5G RANに接続されたVMware RICで実行。その結果、CohereのxAppインテリジェンスを用いて、5Gのスペクトル効率を2倍にすることで、セルサイト(移動通信網の基地局)の容量を効率的に2倍に増加したという。

さらに、自社のマネージドサービスにVMware SASEを追加して、サービスを提供するサービスプロバイダーの取り組みも紹介された。今回、BTがVMware SASEをグローバルなマネージドサービスとして多国籍企業に提供し、VerizonがグローバルなマネージドSD-WANサービスのポートフォリオにVMware SD-WANを追加することが発表された。