東京都立大学(都立大)とSBIファーマ、国立長寿医療研究センター(NCGG)の3者は12月27日、天然アミノ酸「5-アミノレブリン酸」(5-ALA)と「クエン酸第一鉄ナトリウム」(SFC)をショウジョウバエに摂取させたところ、筋肉の老化が改善されて寿命が延伸することを確認したと発表した。
同成果は、都立大 理学研究科 生命科学専攻の安藤香奈絵准教授、NCGG 認知症先進医療開発センター 神経遺伝学研究部の飯島浩一部長らの共同研究チームによるもの。詳細は、分子および細胞のライフサイエンス全般を扱う学術誌「FEBS Open Bio」に掲載された。
老化の原因の1つとして、細胞内でエネルギー産生を担うミトコンドリアの機能が低下することが示唆されており、培養細胞における実験から、5-ALAとSFCを共に添加すると、ミトコンドリアの活性を高められることが報告されている。そこで研究チームは今回、5-ALA/SFCが個体の老化に及ぼす効果について、ショウジョウバエを用いて検討することにしたという。
5-ALAは、ミトコンドリアで作られるアミノ酸の1種で、地球上で36~40億年前に誕生したとされる最初の生命にまで遡れる最古のアミノ酸といわれている。「ヘム」や「シトクロム」と呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる物質として知られているが、加齢に伴って生産性が低下することも分かっている。
実験の結果、5-ALA/SFCを含んだ餌を継続して与え続けられた群では、ミトコンドリア保守機構の破綻が抑制され、筋肉組織の機能が維持されていること、ならびに、加齢に伴う運動能力の低下の緩和と、寿命の延伸も見られたという。
今回の成果を踏まえ研究チームでは、5-ALA/SFCの摂取がショウジョウバエにおいては、ミトコンドリアを介して抗老化効果を持つことと、そのメカニズムの一端が明らかとなり、運動能力の低下をはじめとした加齢に伴う症状を緩和できる可能性が示唆されたとしている。