IDC Japanは12月1日、何らかのクラウドを利用中の国内企業(従業員規模100人以上)を対象に10月に実施したアンケート調査をもとに、国内クラウド需要調査の結果を発表した。すべての配備モデルにおいて概ね良好で、なかでも「導入のしやすさ」「運用のしやすさ」「機能」に対して高評価であった。

  • 利用中のクラウドについて、導入時(採用決定時期)の期待と実態(効果)を5段階で評価(配備モデル別/項目別)

    利用中のクラウドについて、導入時(採用決定時期)の期待と実態(効果)を5段階で評価(配備モデル別/項目別)(出典:IDC Japan)

現在、国内市場ではクラウドを利用する企業が継続的に増加し、複数のクラウドを利用するマルチクラウドも一般化している。また、クラウドを利用中の企業のうち66.4%が「クラウドファースト戦略」を有しており、IT予算は「従来型IT」から、「クラウド」へと大きく移行しているという。

利用しているクラウドの導入時(採用決定時期)の期待と実態(効果)については、すべての配備モデルにおいて概ね良好で、なかでも「導入のしやすさ」「運用のしやすさ」「機能」に対する評価が高かった。導入検討時に「セキュリティ」に対して懸念を持つ企業は多いものの、セキュリティに対する評価も良好な結果となった。また、プライベートクラウドよりパブリッククラウドの方が評価が高い傾向であった。

一方、クラウドの利用に対して「コスト削減」に高い期待を寄せる企業が多いものの、利用/導入後での評価では「コスト」に不満を持つ企業も見られた。そのほか、SaaSでは「ユーザー部門の使い勝手」、IaaS/PaaSおよびHPCでは「過去資産の継承性」、EPCでは「障害」に対する評価に課題が見られた。

国内市場ではクラウドは広く普及したものの、スキル不足によってクラウドを使いこなしていないと考える企業も多く見られる。IDC Japan ITサービスのリサーチディレクター・松本聡氏は、「ベンダーは、クラウドの満足度を高め、さらなる利用を促すためには、製品/サービスに関わる特徴の理解を促し、運用の効率化を支援する必要がある」と分析している。