オムロンは11月10日、従来機比1.5倍の高速撮像を実現したCT型X線自動検査装置「VT-X750-V3」を11月20日からグローバルで発売することを発表した。
近年、さまざまな分野のエレクトロニクス化により電子基板の需要が急増している。特に車載用途向けなどは人命にかかわることから高い品質が要求されるが、基板の両面への部品実装や部品を集約したICチップなどは外観検査による不良検出は難しく、そうした検査は従来のX線による2D撮像から3D検査へと移行しつつあるという。
しかし、3D検査は撮像と画像処理に時間がかかるため、運用効率を高めつつ、いかに高品質な検査を実現するかが課題となっており、製造現場では2D検査時と同等の生産数確保のために、生産品の一部のみの検査や、全数検査の場合でも生産工程とは異なる場所に検査工程を用意し、時間をかけて対応といったことが行われている。
VT-X750-V3そうした課題を解決することを目的に開発されたもので、現行機比で検査速度を1.5倍に高速化。それにより、複雑な基板でも従来同等の生産性で、全数検査を可能としたとする。
また、搭載するオムロン製制御機器をシームレスに制御することで可能となる独自の連続撮像技術と、従来比2倍の感度を持つカメラの採用により、クリアな3D画像の高速撮像を実現したとするほか、AIによる検査の自動化を活用することで基板検査プログラムの作成時間を短縮させることもできるとしている。
加えて、IGBTやMOSFETなどのパワーデバイスに最適化した検査ロジックを新たに追加。パワーデバイスにおいては、パワー半導体がSiからSiCやGaNに変化しつつある中、放熱の課題はますます重要となってきおり、放熱の課題の1つであるはんだ接合中のボイド検査について、独自の検査アルゴリズムを開発し、搭載したという。
被ばくリスクの低減についても、基板の表・裏や、搭載される位置などによって、部品ごとの被ばく量をより正確にシミュレーションできる機能を追加することで部品ごとの被ばく量の限界値と照らし合わせ、被ばくによる部品故障のリスクを低減することが可能とのことだ。