半導体市場動向調査会社の仏Yole Développementの予測によると、More-than-Mooreデバイス製造向けエピタキシャル成長装置市場は2020年は6.9億ドル規模であったが、2026年には11億ドル規模に達するという。

同社が当該装置としているのは、従来型/マイクロLED、レーザー/フォトディテクタ、RFデバイス、Si/SiC/GaNパワーデバイス、MEMS製造向けMOCVD、MBE(分子線エピタキシャル成長装置)、Si/SiC HTCVD。

  • More-than-Moore向けエピタキシャル成長装置

    More-than-Mooreデバイス向けエピタキシャル成長装置の種類(フォトディテクタは規模が小さいためレーザーに含まれる) (出所:Yole Développement、以下すべて)

このうち、最大市場はMOCVDで、年平均成長率(CAGR)7%で成長し、2026年には6.3億ドルまで伸びることが見込まれている。2番手はHTCVD市場で、CAGR9.5%で成長し、2026年には3.93億ドルへと拡大することが期待されるという。3番手はMBE市場で、CAGR7.1%で成長し、2026年には6800万ドルに到達するものと予想されている。

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    2020年と2026年の半導体材料別More-than-Moore向けエピタキシャル成長装置市場規模予測

売上高企業ランキングトップ11、日本企業は3社がランクイン

More-than-Moore向けエピタキシャル成長装置の売上高トップは独Aixtronで、市場シェアは39%。売上高の57%が中国市場からで、今後も市場成長が期待される中国に注力していくものと予想される。2位は米Veecoでシェアは12%。米中貿易摩擦の影響で中国市場の売り上げは減少気味で、売上高に占める割合も17%ほどとなっている。3位は、中国唯一ともいえる先端エッチング装置サプライヤのAMECで11%、これらトップ3社の売上高だけで世界市場の6割以上を占める状況となっている。

4位は日本の東京エレクトロン(TEL)、5位にApplied Materials(AMAT)と半導体製造装置大手が入ってくる。6位には東芝系のニューフレアテクノロジー、8位に大陽日酸が入っており、トップ11社中、3社が日本企業となっている。それ以外は、7位が仏RIBER、9位が中NAURA(北方華創)、10位が伊LPE、11位が蘭ASM Internationalとなっている。

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    More-than-Moore向けエピタキシャル成長装置の企業売上高ランキング

なお、MOCVDとMBEは、主にGaAsやGaN、InPなどの化合物半導体材料に使用されるが、HTCVDは、 SiとSiCベースのデバイス向けとなっている。HTCVD SiCのマーケットリーダーはTELで、HTCVD SiのマーケットリーダはAMAT、MBEのマーケットリーダはRIBERとうまく市場をすみ分けている。現在、More-than-More向けエピタキシャル成長装置の主たる適用分野は、GaN/SiC/SiパワーデバイスやVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が中心だが、5年後には、GaNパワーデバイスやMicroLEDにシフトしていくだろうとYoleは予想している。

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    2020~2026年のMore-than-Moore向けエピタキシャル成長装置市場の規模と主な応用デバイスの変遷予測