SmartHRは10月14日、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」に従業員情報をもとに人事評価のシート作成・配信や評価データ蓄積を行える「人事評価」機能の追加を発表した。同機能は有料のオプション機能となる。
新機能のリリースに先駆けて行われた報道機関向け勉強会では、同社が人事労務担当者へ行ったアンケート結果とともに、新機能の特徴や今後開発を予定している機能などが紹介された。
「人事評価」機能では従業員の所属部署や雇用形態、役職などに合わせて、評価項目の異なる複数のテンプレートを用意できる。評価シートの入力は、テキスト入力フォームのほか、エクセルやスプレッドシートなどさまざまな形式に対応している。
評価内容の閲覧権限の設定も可能だ。評価シート内の項目単位で、編集可、閲覧のみ、閲覧不可から権限を設定できる。
例えば、従業員Aの人事評価を課長と部長が評価する場合、二次評価者である部長には、従業員Aの目標や結果は閲覧できるが一次評価者の課長の評価内容は閲覧できないようにする、といった設定も可能だ。
また、人事評価業務の進捗を可視化できる設計となっており、編集履歴を残したりコメント機能によるフィードバックを行ったりもできる。
スケジュール記載フォームでは、プロジェクトごとに期限や評価に関わる人物の設定が可能で、評価シートの入力期日の前後でリマインドを通知することもできる。
新機能提供のねらいについて、SmartHR プロダクトマーケティングマネージャーの重松裕三氏は、「サービス提供を通じて、これまで人事労務業務の効率化を進めてきた。すでに『SmartHR』利用企業には人事評価に活用可能なさまざまなデータが蓄積されており、データを活用した人材マネジメントを支援するために機能開発を進めてきた」と説明した。
人事評価におけるシステム利用の実態はどうか。SmartHR プロダクトマーケティングマネージャーの北原詩緒里氏は、「システム活用・データ管理などの課題は山積みだ」と指摘した。
同社が人事労務担当者1067人に行った「人事評価業務に関する調査」(調査期間:2021年8月16日~2021年8月20日)によれば、人事評価業務を「システムのみ」で行っている企業の割合は3割未満となった。
また、「紙と他ツールの併用」で評価業務を行う担当者のうち、65%が評価シートの準備や配布などの工数を負担に感じ、55%が心理的負担が大きいと回答した。
「紙のみで評価業務を行う担当者より、紙とツールを併用して評価業務を行う担当者のほうが、工数の負担や心理的負担を感じている割合が高かった。人事評価業務が複数のツールにまたがることで、担当者の負荷が大きなものとなっている実態が伺える」と北原氏は分析した。
今回の機能追加では、「準備・配布」「入力」「回収・集計」に関連する機能が提供されるが、今後はグラフ作成など評価の可視化をサポートする機能のほか、評価結果をもとに給与改定を行った場合の給与原資への影響をシミュレーションする機能などを開発する予定だという。
「従業員のエンゲージメントを調査する『従業員サーベイ』と組み合わせて、評価の納得度をアンケート集計したり、人事評価機能に配置・異動のシミュレーションを組み合わせたりと、1つのデータベースにさまざまなデータが集約されているからこそ実現できる機能を今後も提供し、人材マネジメントの実現と組織改革における意思決定を促進していきたい」(北原氏)