慶應義塾大学(慶大)は10月11日、新型コロナ感染症拡大の下での国内におけるテレワークと就業者の労働や生活、意識に関する大規模調査「テレワークに関する就業者実態調査」の第5回調査の速報結果を発表した。

同調査は、同大経済学部の大久保敏弘教授とNIRA総合研究開発機構の共同研究で、2020年4月より全国の就業者1万人以上に対して行われてきたもの。5回ともに参加した継続回答者は4400人以上におよぶという。

5回目となる今回の結果からは、2021年9月1週目時点の全国のテレワーク利用率は17%(東京圏=東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の居住地ベースの値、28%)となり、2020年6月以降のテレワーク利用率自体に変化はみられなかったという。

具体的には、通常の職場で勤務している人(テレワーク利用者含む)の出社頻度を時系列でみると、週5日以上出社している人の割合が減っており、徐々に出社頻度を減らしていることが判明した一方、テレワーク利用者の利用頻度は、テレワークを週5日以上利用している人の割合が増えるなど、緩やかに増加しており、出社頻度の低下の裏で、テレワーク利用者のテレワーク利用時間が増えており、テレワークと出社を組み合わせた働き方のバランスが、全体としてはテレワークの比重が高い方向にシフトしていることが判明したとしている。

一方でマイナス要因として、仕事の特性上テレワークが困難であることや、コミュニケーションの悪化、自宅環境に課題があると回答した人の割合が高い結果となったという。また、会議の効率化やコミュニケーションの改善に関する項目についての回答割合は低く、テレワークによるコミュニケーションの変化は、仕事の効率性を低下させる方向に働き、上昇させる方向には働きにくい可能性が示唆されたともしている。

このほか、感染経験のある人は、感染経験のない人よりも、メンタルヘルスが悪く、経済的な困窮への不安を感じていることが確認されたともしていることも判明したとしている。

なお、ワクチン接種の状況については、性別による差はみられなかったとするものの、年齢が若いほど接種完了率が低い傾向が確認され、接種しないと答えた人の割合は年齢が若いほど大きく、10~20代の23%はワクチン接種をしないとの考えを持っていることがわかったとしている。