IBMは8月23日(米国時間)、技術シンポジウム「Hot Chips 33」において、トランザクションの実行中にAI推論ができるようにオンチップ・アクセラレーションを搭載した「IBM Telumプロセッサ(Telum)」の詳細を発表した。
Telumは、「IBM Research AI Hardware Center」が開発したテクノロジーを初めて採用したプロセッサ。開発に3年を要し、AI処理の高速化により、金融業界での不正行為の予防などに活用できるものだとしている。
同製品は、Samsungの7nm EUVプロセスを採用することで、8つのプロセッサコアに高度なスーパースカラーとアウトオブオーダー命令のパイプラインを実装。5GHz以上のクロック周波数で動作し、エンタープライズクラスの異種ワークロードの要求を満たすよう最適化されていると同社では説明している。
チップに相互接続できるインフラストラクチャとして1コアあたりのキャッシュは32MBとしているほか、32チップまで拡張することが可能。デュアルチップモジュールの場合、220億個のトランジスタ構成で、17層の金属配線層には19マイル分の配線が使われているという。
Telumを導入することで、トランザクションを実行しながらAI推論を行うことで、銀行、金融、商取引、保険などにおいて「不正を検出する」から「不正を予防する」へと体制を変えることができ、取引完了前に不正行為を大規模に予防することも可能だと同社では説明している。
なお、TelumのIBMシステムへの採用は、2022年前半を計画しているとのことだ。