電通と電通マクロミルインサイトは7月26日、AIチャットボットが自動的にインタビュー形式で生活者の意識調査を行う「Smart Interviewer(スマートインタビュアー)」のβ版を共同開発し、企業向けに提供を開始したと発表した。これにより、従来の調査手法では難しかったとされる一人ひとりに階層構造で深掘りした聴取を、大人数に同時に実施することが可能になるという。

これまで、生活者の意識調査の手法としてWebアンケート調査や対面インタビューが代表的であったが、 Webアンケート調査は大人数に同時に聴取できるが、自由回答に関しての深掘りができず、対面インタビューは深掘りができるが、大人数に同時に聴取することが難しく、手間と費用がかかるといった課題があった。

  • Smart Interviewerを活用した調査イメージ

そこで電通は、独自開発のAI日本語対話エンジン「Kiku-Hana(キクハナ)」に、電通マクロミルインサイトの生活者の潜在ニーズの発掘、分析・解釈のノウハウ、仮説構築につなげる知見を掛け合わせ、AIがチャット形式で対象者一人ひとりに深掘り調査をする「Smart Interviewer」β版を開発した。

同ソリューションには、人の意識や商品価値を階層構造で聴取していく「ラダリング手法」が搭載されている。聴取したい階層構造や想定回答を事前にAIに学習させることで、階層構造に沿った質問をAIが自動で行い、回答を引き出すことが可能だという。

  • Smart Interviewerと、従来Webアンケート調査の自由回答との比較結果

両社が、「Smart Interviewer」を活用して2020年に500名に対して行った実証実験では、一般的なWebアンケート調査の自由回答フォームと比較して、一人あたりの回答文字量は4.3倍、回答切り口の数は2.4倍まで増加。これに対して、「特になし」といった回答は72%低減し、より具体的な回答を得ることができたとしている。対象者の73%が「回答しやすい」と評価した。

両社は今後、さらなる機能拡張や他ツールとの連携を進めることで、分析機能やユーザビリティの高度化を図りながら、応用可能な領域を広げていく予定だ。