プライバシーの観点での障壁

そんな新しい働き方を実現する「FAMoffice」だが、まだまだ改善したいことが山積みだという。

同ツールには、音声と映像の両方を消す「プライバシー」機能がある。この機能がオンの状態だと、アバターで急に話しかけられても自動的にビデオ通話につながることはない。逆に言えば、いまその社員が本当は何をしているのかを、知ることができないということだ。

「すぐにつながり、常に全体を把握できることが『FAMoffice』の魅力的なところだ。その点を生かしつつ、個人のプライバシーへの配慮に関しても真摯に取り組んでいきたい」(松浦氏)

現実のオフィスに近付けていく

ほかにも、席にメモを残す機能や、フロアごとに掲示板を設ける機能など、さまざまな機能を追加することが検討されている。現実のオフィスに近付けていく一方で、デジタルだからこそ実現できることを模索していく。

「オンライン上だと、新入社員は会社の中にどんな人がいるかもわからない。社員名簿を見たところで人柄を理解することは難しい。新入社員のコミュニケーションのスキルや人間関係を構築できないのはもったいないことだ。たとえば、アバターの上に初心者マークをつけたら、みんなが面白がって話しかけ、コミュニケーションのきっかけになるかもしれない」(松浦氏)

4月現在、同社は自社だけでなく、近日中に商品として販売を開始する予定とのことだ。

新しいコミュニケーションの形を生み出しつつある富士ソフト。昨今、テレワークによる課題が浮き彫りになってきているが、テレワークによってもたらされるメリットが多いことも周知の事実だ。今後の働き方、特にコミュニケーションのあり方について、今一度見直す必要があるのかもしれない。